既に大きく新聞報道のとおり、SBIホールディングスによる新生銀行に対するTOBについて、今回から記事を書きます。しかし、最近の国内の事例を見ると、事業会社同士の同意のないTOBや敵意的TOBは本当に増えていますね。
ニトリの島忠の買収(最終的に島忠は賛同しましたが)、コロワイドの大戸屋の買収、日本製鉄による東京製綱の買収、オーケーによる関西スーパーの買収提案などこの1年で大きく増えています。背景には、機関投資家の議決権行使結果の個別開示、安定株主の減少、敵対的TOBを引き受ける証券会社の存在などを背景に、敵対的TOBは企業価値向上の手法の1つとして世間で認識されてきたということなのだと思います。
さて、SBIのケースですが、存じの方も多いかと思いますが、TOB価格は1株2000円(約39%のプレミアム)、買付期間は9月10日から10月25日までです。既にSBIは新生銀行の株式の19%を保有しており、出資比率を48%まで引き上げる予定ということです。内容は次のとおりです。
https://www.sbigroup.co.jp/news/pdf/2021/0909_a.pdf
これを受けて、新生銀行は次のプレスを出しています。
https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/210909_announcement_j.pdf
「本公開買付けは当行取締役会の賛同を得て実施されたものではありません。本公開買付けに関する当行の考え方に基づく当行の対応につきましては、本公開買付けの公開買付届出書の内容その他の情報を分析・検討したうえで、早急に株主の皆様にご案内いたします」とあります。
TOBを受けた場合、対象企業(新生銀行)は10営業日以内に意見を表明する必要がありますので、今後、新生銀行は賛同、反対、中立等の意見を公表することになります。反対の場合には、敵対的TOBになりますので、ホワイトナイトによる救済または買収防衛策の導入を新生銀行は選択するのでしょう。急遽ホワイトナイトを探すのは難しいと思いますので(ホワイトナイトも上場企業である場合、新生銀行を助ける合理性のある理由を自社の株主に説明する必要あり)、取締役会決議で買収防衛策を導入し、臨時株主総会を開催して買収防衛策の賛同を得るという可能性もあるかも知れません。以下、いつものように経緯を記載します。