中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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明治ホールディングスが中期経営計画で「ROESG」なる指標を開示 ー 投資家に分かり易い開示を心がけていますか?

先日の日経新聞で次の記事のとおり、明治ホールディングが中期経営計画で独自指標の目標数値として、「明治ROESG」という指標を改善する計画を公表しました。

ROESGは、ROE×ESG指標目標値×明治らしさ目標達成で構成されます。

自己資本利益率(ROE)とESG(環境・社会・企業統治)の評価などを組み合わせたものです。この指標ですが、伊藤レポートでおなじみの一橋大学の伊藤邦雄氏が作った指標で彼が商標権を持っています。結論からいいますと良く分からない指標の印象を受けます。

さて、この明治ホールディングスの例を1つの悪い見本として企業は考えるべきことがあります。先日、ある企業の定時株主総会にオンラインで参加をしましたが、そこで、高齢の個人株主の方から意見がありました。その意見とは、中期経営計画を見るとカタカナでスローガン的なことが沢山書かれているが、意味が不明であり、それよりも日本語で分かり易く説明して欲しいと議長へのお願いでした。これを聞いて「なるほど」と私は思いました。

皆さんの会社でも、中計経営計画などで、キーワードとして英語やカタカナでスローガンを掲げている場合も多いかと思います。しかし、これに関しては、機関投資家はじめ株主から一目で見て、意味が通じるかということを常に考える必要があります。社内にいる方は、中計経営計画を策定するまでかなりの回数の議論を重ねているので、シンプルなカタカナでも意味は通じるのですが、投資家にとっては、はじめて見る言葉なのです。ということに鑑みると、綺麗なスローガン的なキーワードに固執するのではなく、多少長くても外部の人に意味の通じる日本語の掲載が肝要です。

文章を可能な限り短く、シンプルにすることにやたらこだわる経営トップの方もいると思いますが、「短かすぎると外部の方には意味が通じない」ということを経営トップの方は念頭に置く必要があります。