コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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東芝の取締役会議長から株主へのオープンレターが公表

本日、四季報の夏号が販売され、四季報オンラインの銘柄データが更新されました。明日からは各銘柄の四季報データをチェックする予定です。

本日の日経新聞によれば、東芝筆頭株主であるエフィシモ・キャピタルが東芝企業統治の抜本改善を求める声明を出したということです。声明の内容をグーグルで検索したのですが、見当たりませんでした。

一方の東芝ですが、エフィシモ・キャピタルの声明を受けてかどうか分かりませんが、本日、取締役会議長の永山氏から株主へのオープンレターをホームページで公表しました。「株主の皆様へ」ということで、内容は次のとおりです。

私は株式会社東芝(以下、「当社」)の取締役会議長として、最近の当社に関する一連の受け入れ難い出来事が皆様の信頼を損なってしまいましたことを、深くお詫び申し上げます。調査報告書の公表後、当社が既に断固たる迅速な行動を取り、来たる6月25日の定時株主総会に向けて、取締役、委員会委員及び執行役候補者を変更したことは既にご高承の通りかと存じます。私は、取締役会と共に、当社のガバナンスを抜本的に改善し、当社の企業価値向上に向けて、全力で取り組みます。私たちは一丸となり、以下の具体的な施策を直ちに実行致します。

  • 再発防止へ向けて、なぜこの受け入れ難い出来事が生じたのかを外部の第三者の参画も得て調査し、新たな防止策を講じた上で、揺るぎないコンプライアンス文化を築いて参ります。
  • 当社のような複雑かつグローバルな事業を経営した、優れた経験を有する人材を独立社外取締役として新たに迎えるべく、株主の皆様の視点も取入れつつ、入念な調査を開始致します。このような候補者を選定次第、臨時株主総会にて株主の皆様にご承認をお願いする予定です。
  • 綱川氏の後任として、成すべき変革を今後牽引していくことができるCEOの選定を加速させます。
  • 既に公表している通り、これまで準備を進めて参りました戦略委員会を、定時株主総会の終了後、速やかに始動致します。
  • 取締役会は、独立したグローバル投資家調査機関であるMakinson Cowellを起用し、当社の重要な戦略的意思決定に際して、株主の皆様から、広範にかつ透明性高く、ご意見を取込むことができるよう、匿名での意見収集を行うことと致しました。

 上記のプロセスに関する進捗は今後定期的にお知らせ致します。私が当社の取締役会に加わって1年足らずですが、当社及び従業員に対して大いなる可能性を感じております。取締役会議長としての私の第一の役目は、皆様が享受すべきガバナンスとリーダーシップを当社に提供することです。私は、現状に安住することなく、前向きな変革者であり続ける事を皆様にお約束致します。

良く読むと来週の定時株主総会を意識してのレターかと思います。ところで、「再発防止」という言葉があげられていますが、先日の外部調査の報告書は「正しかった」ということを東芝は認めているということのように読めます。もしそうであれば、先日クビになった監査委員会委員の調査は、いい加減なものであったということになるかと思います。監査委員会は、指名・報酬委員会よりも公平性が求められる委員会のはずです。指名委員会等設置会社においては、業務執行を監査し、不正があった場合にはそれを取締役会に報告し、また、差し止めるような役割が求められています。その役割を果たせなかったということは、東芝は完全にコーポレートガバナンスが機能不全であったということかと思います。

東芝は今後、どうなるのでしょうか?このような状況下では、優秀な学生は採用も出来ないだろうし、アクティビストに喰い荒らされて解体寸前になり、そのタイミングでどこかが東芝を救済買収ということになるかも知れません。しかし、日本企業で東芝を救える規模の大きい企業は容易には見つからないであろうし、中国資本が丸ごと買収するか、東芝の事業を小さく分離して、いくつかの日本企業に個別事業を買収してもらうということもシナリオとしては十分あるように思えます。