コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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西松建設の幻の6号議案 ー 特定株主グループによる株式買増しの中止等要請に関する株主意思確認の件

本日は5,000株ほど保有しているある小型銘柄の企業の中期経営計画の機関投資家向けの説明会動画を見て、不明な点があったので、その企業のホームページにあるIR質問の箇所からメールでIR部に何点か質問をしました。過去にもこの会社には複数回、決算説明資料を見て質問をしていますが、IR部の担当の方は結構きちんとメールで回答をしてくれています。個人投資家で中長期での株式投資をする方は、何ら遠慮することなく、投資先企業のIR部門に質問をするとよいかと思います。

さて、6月16日の日経新聞で「西松建設 幻の6号議案」「株買増し拒んだ『奇策』」との記事がありました。西松建設が今年6月29日の定時株主総会で上程していた以下の第6号議案に「特定株主グループによる株式買増しの中止等要請に関する株主意思確認の件」についての記事です。

 https://www.nishimatsu.co.jp/assets/upload/ir_meeting/1622588429_002077200.pdf

内容は、旧村上ファンドであるシティインデックスイレブンスが西松建設株を約24%保有しているところ、25%を超える株式の取得をしないことについて株主の賛同を得ようとするものです。 議案の要領を引用すると次の記載があります。

1.本議案の要領
本議案は、当社が2021年5月20日付けで、特定株主グループ(以下に定義します。)によるこれ以上の株式買増し(以下に定義します。)に反対し、特定株主グループに対して、(a)以下の(i)から(iii)に定める当社に対する株券等保有割合又は株券等所有割合の合計が25%を超える株式買増しを行わないこと(仮に既に当該合計が25%を超えている場合には、2021年5月21日以降株式買増しを行わないこと)、及び、(b)仮にこれに反して株式買増しを行った場合には、当該株式買増しに係る当社株式等について、市場における売却(ToSTNeT-1の方法によるものを除きます。)又は当社が別途合理的に指定する方法により速やかに処分することを要請(以下「本要請」といいます。)したことにつき、株主の皆様のご承認及びご賛同をお願いするものです。本議案については、特定株主グループ及び当社の取締役等(以下に定義します。)を除く出席株主の議決権の過半数の賛同によりご承認をいただきたく存じます。本議案は、本要請を行ったことについて株主の皆様のご意思を確認するものであって、いわゆる買収防衛策に当たるものではございません。当社としては、本議案について上記の出席株主の過半数の賛同によるご承認を得られた場合は、特定株主グループにおいて本要請を遵守していただけるものと確信しております。なお、仮に上記の過半数の賛同によるご承認を得られなかった場合には、当社は、その時点をもって本要請を撤回いたします。

本議案は、結局、シティが買い増しをしない誓約書を提出することで西松建設は議案を取り下げることになりました。このよう議案は、株主に株式の売却を法的に制約するものではなく、新聞記事の表現によれば株主の「民意」を背景に対抗するものです。過去にはセゾン情報システムズが同様の決議をしたようでグーグルで検索をしたところ、2012年に次の内容がありました。

https://home.saison.co.jp/company/news/pdf/2012/pre20120612-2.pdf

これは1つの買収防衛策と言えるのでしょうか?この決議を無視して買増しを進めた場合に、会社が対抗措置を発動して裁判になった場合に会社が措置の有効性を高めるための1つの材料にするための決議という印象を持ちます。