本日の日経平均株価は前日比+519円の29,331円でした。米国の経済指標が好調だったことやワクチン接種が海外で進んだことなどが背景にあるのだと想像します。3月期決算企業の2020年度通期の決算発表が来週から本格化しますが、その際に併せて決算短信で公表される2021年度の通期決算の予想数値(保守的な数値にはなりますが)は注視すべきポイントかと思います。
本日は、上場企業と投資家の意識の違いを纏めたあるアンケート結果を紹介します。ご存じの方も多いかも知れませんが、生命保険協会が本年4月16日に「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート集計結果(2020年度版)」というものを以下のとおり公表しています。
https://www.seiho.or.jp/info/news/2021/pdf/20210416_4-5.pdf
27項目について、企業と機関投資家の間での認識のギャップをまとめた内容で、企業にとっては投資家の目線を知る上で重要な情報です。その中で興味深いものをいくつか紹介します。
まず、社外取締役に期待する役割についての調査結果です。企業が強く認識しているのは、「経営執行に対する助言」と 「会計や法律等専門家としての助言」となっていますが、一方の投資家が強く認識しているのは、「不祥事の未然防止に向けた体制の監督」となっています。社外取締役に期待している役割が現状果たされているかとの調査結果については、企業は「期待どおり十分に果たされている」とする一方で、投資家は「不十分であり、改善の余地がある」としています。
また、経営経営目標として重視すべき指標の調査結果については、企業は「売上高・売上高の伸び率」を強く意識する一方、投資家は、「ROE」 「ROIC」 「資本コスト」となっています。株価は業績に収斂されるところ、売上高・営業利益の伸び率もとても大事だとは思いますが。中長期的な投資・財務戦略の重要項目については、企業が強く意識するのは「設備投資」 「株主還元」である一方、投資家は「 IT投資(デジタル化)」 「人材投資」 「 研究開発投資」となっています。
上記以外にも企業と投資家の認識のギャップの大きい内容が各項目毎に記載されており、参考になります。このアンケートの見方ですが、投資家の考えに企業は必ずしも合わせる必要はないと思いますが、認識のギャップの大きい項目はギャップを小さくする必要があるのだと思います。そして、その手段が企業と投資家の対話です。企業の方は、このアンケートを一読して、各項目について自社はどう考えているかということを一度考えてみると良いかと思います。