コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

企業規制の仕組みはハードローからソフトローに変化しています ー ESGの取組みはソフトロー

本日の日経平均株価終値は前日比591円安の28,508円でした。2日連続で大きく下げています。株を買うのに絶好の機会かと思います。企業のファンダメンタルズに変化がない中にあっては、「大きく売られたら買い」というのは中長期投資の鉄則かと思っていますので、明日、もう1段下げたところで保有銘柄の買増しをしたいと考えています。

さて、最近、ESG投資などを調べる中で、世の中の規制の仕組みが「ハードローからソフトローに変化」しているということを時々耳にします。ソフトローのルールは、規範自体が公表されてからそれが伝播され、更に社会に広く受容されるまでに一定の期間を要し、どのタイミングでルールとなるのか判断が簡単ではないと言われています。ハードローは、違反すれば刑事責任や損害賠償を負うものであるところ、ソフトローにはこのような懸念はない。しかし、ソフトローに適切に対応しないと企業価値や株価の毀損を招き、ひいては経営陣の責任が問われることがある。そしてESG課題やSDGsへの取組みはソフトローになりつつあるというものです。

というようなことをこの2~3週間の間にぼんやりと考えていたところ、本日の日経新聞の夕刊に森・濱田松本法律事務所(日本の四大法律事務所の1つ)の石綿学という弁護士が書いた記事が非常に的を得ており、しっくりきましたので紹介します(太字は私が強調した箇所です)。

近年、わが国の企業社会において、ソフトローの重要性が増している。「ソフトロー」とは法規範ではないが、国や企業などが何らかの拘束感を持ちながら従っている諸規範をいい、ハードロー(制定法)と対置される。もともとは国際機関の決議などに用いられることが多かったが、昨今は行政機関や国内外の団体などが策定するガイドラインや指針、コードなどを指すことも多い。ここ数年大きく変貌したコーポレートガバナンスやM&Aのルールの進化は、まさにコードや指針といったソフトローがわが国の企業社会によって受容されたたまものだ。法令のみならず社会規範の遵守を求めるコンプライアンスに対する意識の高まりが、ソフトローの遵守を促しているともいえる。ソフトローは、国内外の最先端の議論を迅速かつ大胆に取り込みやすいという利点を有している。諸説ある事柄をふわっと取り込む柔軟性もある。一方で、立法府における民主的なプロセスを経ているわけではないから、バランスを欠く内容であると過剰規制につながる危うさもある。ゆえにソフトローの作り手には適切な方向にバランスよく誘導していく能力と心構えが求められる。他方、受け手の側には環境変化に応じて持続的に成長すべく、日進月歩していくソフトローに対する感性を磨き、必要なものは自発的に受け入れていく柔軟性が必要だ。

短い記事ですが、的を得ており、非常にしっくりくる内容です。これを読んで、久しぶりに妙に納得をしました。森・濱田松本法律事務所は「ルール・チェンジ 武器としてのビジネス法」日本経済新聞出版という書籍を昨年の12月に出しています。最近の法改正の動きなどビジネスを取り巻くルール(ハードロー、ソフトロー)の最新状況を国内・グローバルの双方の視点から書いているようです。ソフトローという考えをあらためて一度しっかりと理解したいと思っていましたので、早速アマゾンで注文をしました。週末に読んで見たいと思っています。