コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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東芝買収の動きを分かりやすく解説します(第1回) ー 東芝買収に日本勢が参加予定か?外資規制をクリアするのが目的でしょう

来週から保有銘柄をはじめとした企業の決算発表が始まりますので(3月期決算企業は4月下旬から5月上旬ですね)、今後の買増し・売却の判断のために、本日は、直近の決算をあらためて整理するとともに、今週1週間の株価の動きやニュースリリース、特許情報、保有銘柄の同業の同様の情報の整理・分析をしています。決算短信で公表される2021年度の業績見通しが株主にとって最大の関心事かと思います。

さて、本題ですが、英投資ファンドのCVCキャピタルパートナーズの2兆円を超す東芝買収の件について連日報道がされていますが、この東芝の件は、本日からブログでも分かりやすく解説を連載していきたいと思います。

最初に日経新聞東芝買収の件が報道されたのは、4月7日で、当初、敵対的買収か友好的買収か分りませんでしたが、ニュースやテレビ報道を見るとどうやら友好的な買収のようですね。東芝社長の車谷氏や顧問の藤森氏(プロ経営者とか言われていましたが、たしかLIXILのオーナによってクビにされた方と思います)がCVCキャピタルの出身ということで、東芝が水面化でお願いしたのだろうと想像できます。一方で、東芝は4月9日に次のプレスリリースを出しています。

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20210409_1.pdf?_ga=2.54447343.638284420.1618017831-122894697.1617607015

これには、「この提案書における提案は、当社の要請によるものではなく、当社の事業等に関する詳細な検討を経た上で行わているものでもありません」とあります。「要請によるものではない」とありますが、反対解釈として「東芝は要請はしていない」と受けとめる人はいないでしょう。

もし東芝が要請したとなると、車谷と藤本の2氏は利益相反になり、この買収に関する以後の東芝の取締役会の判断に関与できなくなる可能性も出てきます。正確には法的にはグレーであるかも知れませんが、東芝の株主のアクティビストが「この2名が検討に参加するのは法的に問題である!」と指摘して騒ぐ可能性が極めて高いかと思います。

また、本件は外資規制も大きなポイントです。外資規制では、コア業種認定された企業の株式を1%以上、外国投資家が純投資以外の目的で取得する場合には、財務省等の審査が必要になります(後日、外資規制は記事に書きます)。特に、東芝原子力半導体等の重要インフラ事業を手掛けるコア業種のど真ん中の企業ですので、最重要審査対象企業と言えます。外資に株式を持たれることで、日本の国家安全を阻害するリスクがあると政府が判断するとストップがかかるわけです。

本日の日経新聞の1面に「東芝買収、日本勢参加も」という記事がありました。要は東芝は、外資以外も資本参加させることで、外資色を薄めることで外資規制の問題をなるべく下げる、つまり、経産省財務省に許可して欲しいということだと思います。

ところで、本件の大きな問題には、アクティビストである物言う株主の動きがあります。東芝はアクティビストから資金を調達してきたわけですが、今は大株主であるアクティビストと揉めに揉めています。CVCキャピタルにTOBをして貰い、非上場化になることでアクティビストに退場して頂きたいというのが今回の東芝の一番の目的であろうと思いますが、問題は買収価格です。

CVCキャピタルはプラミアム3割でTOBをするのではないかという報道もありますが、株主であるエフィシモキャピタルはじめアクティビストがこの程度のプレミアムに満足しない場合には、東芝の経営陣を激しく攻撃することは必至です。アクティビストと東芝間の揉めている状況は次の記事をご参照ください。 今回の東芝買収の案件は、外資規制等の問題もありますが、繰り返しになりますが、一番大きな問題は、株式市場市場、コーポレートガバナンスを知り尽くしているアクティビストが東芝の株主に存在することです。そして、アクティビストの株主提案が株主総会で他の株主の賛同を得られており、アクティビストを応援する大勢の株主がいるということです。アクティビストは頭脳明晰な投資のプロ集団であり、東芝の一般株主も上手く味方につけるのだと思います。彼らは東芝の経営陣の意思決定手続きに少しでも瑕疵があれば、そこを徹底して突いてくるし、何の躊躇もなく訴訟も提起すると思います。そういう点でも本件は本当に大きく、難易度の高く、デリケートな案件です。

今後も東芝の動きやアクティビストの動きについて新聞報道がなされる都度、ブログでも分かりやすく解説していきますので、東芝で何が起こっているのだろうか」「アクティビストとの攻防はどうなっていくのか」「外資規制と買収の関係はどうなんだろう」などと疑問に思っている多くの東芝の社員の方にも、このブログの記事を読んで頂けたらなと思っています。