本日の日経新聞の1面に「人権問題 投資家が圧力」という見出しでウイグルを巡る記事がありました。ESG投資において今後の重要テーマは人権になると言われています。日本企業は「人権」というと、同和問題、パワハラ等に目がいきがちですが、グローバルの観点から企業に求める人権は少しレベルが違います。中長期投資を志向する機関投資家による企業の人権への取組みへの関心は、今後益々高まると思いますので、企業は「グローバル視点での人権への取組み」をしっかりと考える必要があるのだと思います。後日、ブログでも記事を書きたいと思います。
さて、3月31日に金融庁のフォローアップ会議で改訂コーポレートガバナンス・コード案が提示されましたが、本日は、この改訂のポイントについて紹介します。1点目は「取締役会の機能発揮」として次の事項があげられます。比較的重要であるかなと思う点は太字にしました。
2点目としては、企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保として次の事項があがられます。
3点目としては、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取組みとして次の事項があげられます。
- 取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すること
- 人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うこと
- 経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すること
- 人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すること。特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めること
最後にその他として次の事項になります。
細かい点をあげると他にもありますが、大きな改訂ポイントは以上です。
コーポレートガバナンスについてしっかり取り組んできた時価総額3,000億円程度以上の企業には、今回の改訂はあまり大きなインパクトがあるとは思えませんが、時価総額が1,000億円以下の規模の上場企業にとっては、今回の改訂は結構インパクトがあるのだと思います。
私が投資している中小型銘柄は、有価証券報告書はじめ現状の開示資料を見ると今回の改訂対応は現時点では全く出来ておらず、今後どう対応するのか大変だろうなと思います。コンプライせずエクスプレインということも勿論できますが。
キャッシュリッチな財務状況である場合には、アクティビストに攻撃される材料が豊富ということになります。アクティビストの出現は大きな企業リスクです。このリスクをつぶすには、コーポレートガバナンス・コードで求められている事項に1つ1つ対応していくことがとても重要なのです。