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総合資源エネルギー調査会の分科会が開催 - 「エネルギー基本計画に対する経団連の考え方」

本日の日経新聞で「脱炭素へ原発『国が前面に』」という見出しの記事がありました。総合資源エネルギー調査会の分科会が2月24日に開催され、そこで経団連はじめ関係団体に対して原発や再生エネルギーに関する考えのヒアリングが行われたようです。

この分科会というのは、新聞では具体的な名称の記載がありませんでしたが、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の第37回会合になりますが、ここで経団連が「エネルギー基本計画に対する経団連の考え方」を公表しています。資料は次のとりです。

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/037/037_005.pdf

この資料の中で「2030年目標に対する考え方(各電源に対する考え方を含む)」として原子力の考え方が記載されています。一部抜粋すると次のとおりです。

原子力は、3Eのバランスに優れたエネルギー源。将来にわたり人類が必要なエネルギーを確保しカーボンニュートラルを実現するために不可欠な技術足元、地元の理解を得た上で、安全性が確認された既設発電所の着実かつ迅速な再稼働や設備利用率の向上を着実に進め、引き続き、重要なベースロード電源として活用する必要
・ さらに、2050年段階で然るべき水準を維持することを見据えれば、バックエンドの環境整備、安全性を前提とする運転期間に関する見直し・検討はもとより、前述の通り、政策方針へのリプレース・新増設盛り込みが求められる
・ メーカー等関係事業者の技術・人材を維持する観点から、対応は待ったなしの状況。今回のエネルギー基本計画が「ラストチャンス」になることを十分に認識し、政府として原子力に関する方針を明確化すべき

経団連は2050年カーボンニュートラルには原子力の活用が必要という考えのようですね。当然の主張の印象を受けます。風力発電では技術的課題がかなりあり、CO2削減には原子力の活用が不可欠なのでしょう。なお、エネルギーのことなどほとんど分かっていないであろう全国消費者団体連合会は「原子力=反対」の主張のようです。こういう素人集団の意見をヒアリングする意味がどこまであるのかなと疑問を感じるところではありますが、消費者である一般国民の意思を代表する機関ですので、形式的にせよヒアリングをせざるを得ないのでしょう。

原子力のメリットについては、関西電力のホームページに詳しく書かれておりますがいくつかあげます。1つ目は、燃料の安定的供給です。ウランは石油に比べて政情の安定した国に埋蔵されていると言われています。2つ目にCO2を排出しないということです。つまり発電の過程においてCO2を排出しません。3つ目に、年間を通じてフル出力で運転が可能ということです。日本の海では強い風が吹かないという課題があり、無風時には発電できないという欠点が風力発電にはあります。

素人ながらに最近色々と情報を収集した限りでは、やはり原子力の今以上の活用がどうもカーボンニュートラルには必須になるようですね。そして、原子力の活用となると放射性廃棄物の処理が伴います。従い、原子力の処理関連銘柄は長期での保有に期待できるということになるかと思います。