中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

中長期株式投資の銘柄分析:ベントナイト大手のクニミネ工業(5388)の2020年度業績の上方修正の可能性

昨日、トヨタ自動車が10-12月期決算を公表しました。純利益が1.9兆円で業績予想を上方修正しました。日本車5社が上方修正するなど自動車の回復が見られます。

さて、これまで何度かクニミネ工業(5388)について紹介しましたが、10-12月期の決算を踏まえての今後の見通しについて簡単に説明したいと思います。なお、直近での同社に関する記事は次のとおりです。

同社の2020年度の各四半期の売上高及び営業利益は次のとおりです。単位は百万円でパーセントは前年同期比を示します。

  • Q1 売上高 3,122(▲11.6%) 営業利益 304(▲ 4.4%)
  • Q2 売上高 3,164(▲13.4%) 営業利益 409(+15.9%)
  • Q3 売上高 4,308(+ 3.8%) 営業利益 891(+35.4%)

一方、2020年度の通期予想は、売上高14,419百万円、営業利益2,176百万円となっています。この通期予想から、4月から12月までの9ヵ月間の実績を引くと1-3月期であるQ4の予想値になりますが、売上高が3,825百万円(▲6.8%)、営業利益が572百万円(▲5.1%)となります。同社は過去業績を見るとQ4は営業利益は低下する傾向にありますが、このQ4の572百万円はQ3の891百万円に比べて大きな減益の数値となります。同社の主力事業セグメントはベントナイトであり、鋳物関係、土木建築関係ですが、自動メーカーの業績上方修正に鑑みるとQ4の業績は大きく増えるように予想します。

現在のクニミネ工業のPERは2020年度の通期予想をベースにすると約13倍で、過去10年の同社のPERが6倍~9倍程度であることを考えると少し高いですが(市場全体のPERと比較すると13倍はかなり低いですが)、2020年度の通期予想が上方したと仮定すると高い水準ではないと思います。同社の同社の今後の事業機会、財務の健全性を考えると買い推奨と思います。