中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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「『バブル警戒論』花盛り」 - たしかに東証1部のPERはこの半年を見ても高くないです

3月期決算企業の第3四半期の決算発表が始まりました。私は40社程度の決算短信を日中の昼休みと週末に読むのですが、読むべきポイントはQ3(10月~12月)の3ヵ月の業績がQ1、Q2と比べてどのように推移しているか、また、2020年度の業績予想の上方修正があるか否かといったところかと思います。

さて、本日の日経新聞に「『バブル警戒論』花盛り」という記事がありました。世間では、最近の株高を受けバブル警戒論が花盛りですが、本当にそうだろうかという内容の記事です。

たしかに日・米・欧とも株価は上昇していますが、過去半年間を見るとほぼ横ばいであり、その中で株価が上昇しているということは、企業業績というファンダメンタルズの裏付けがあるということです。

PER=株式時価総額÷当期純利益です。企業のファンダメンタルズが現状維持又は低下する中で株価だけが上昇すれば、たしかにPERは高くなります。何故ならばPERの分子のみが上昇するからです。しかし、この半年間PERは横ばいで、株価が上昇しているということは、分母である当期純利益も増加しているということになるのです。

東証1部企業のPERのヒストリカルを拾うと、おおよそ2020年1月から5月までが15倍程度、6月~10月が20倍程度、11月~12月が22倍程度といったところです。ちなみに、2019年は年間を通じて15倍~16倍、2018年は15倍~20倍です。2013年及び2014年は20倍~21倍といったところです。これを見る限りにおいては、現在の直近の22倍という数値はバブルと言えるほど高くはないのです。

ここ数日の日本電産安川電機などの決算発表を見ると2020年度の見通しの上方修正を加えております。このまま業績上方修正を企業各社が続ければ、日経平均株価やTOPIXが上昇してもPERは割高とは言えないということになります。

ということでバブル警戒論もあるようですが、さほど気にすることはないと言えるようです。勿論、2021年度が企業業績が本年度より落ち込むとなると話は変わりますが、今年の5月以降はコロナワクチンも日本で始まることを考えると2021年度が落ち込むということは考えにくいでしょう。