コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

最近の機関投資家の関心事項 - 企業が留意すべき点

1月の正月明けから2月初旬まで仕事が多忙を極め、ブログにじっくり記事を掲載する時間がないのですが、本日は簡単に、機関投資家とのディスカッションを通じて私が感じる機関投資家の関心事項と企業が今後留意すべき事項について触れたいと思います。

1つ目はやはり今年春に予定されているコーポレートガバナンス・コードの改訂関連事項で社外取締役の役割に対する機関投資家の関心が高いと思います。プライム市場に移行する企業は、3分の1以上の社外取締役の設置が求められる予定ですが、人数もさることながら、どういう経験を持った人物が社外取に就任するかの関心が高いように思います。株主代表として社外取を取締役会に送り込み、そして社外取を通じて企業価値が高まることを機関投資家は求めているのであり、であれば、どういう事業経験を持つ人が社外取にいるのかへの関心は当然高いと言えます。

2つ目は、やはり環境関連への関心の高さです。グリーン成長戦略で温暖化ガス排出量を2050年に実質ゼロにすることに向け、企業が市場に今後供給する製品はどうなるのか、事業環境がどう変化するのか、環境対応でかかるコストはどうするのか等の関心が高いように思います。TCFDの関心も高いと思います。賛同する日本企業が多いですが、具体的対応に向けて動きだした企業が多く、今後どのような開示がなされていくのか関心が高いと感じます。

3つ目は、コーポレートガバナンス・コードの改訂関連で管理職のダイバーシティー、特に女性活躍にも関心が高いように感じます。コロナの影響で外国人が日本を離れたこともあり外国人のダイバーシティーにはそれほど関心はないです。現実に外国人の管理職を置くことは難しいとこともあります。グローバルな事業展開をしている企業では海外で外国人を採用するにしても人件費を変動費化するため派遣や契約社員として採用することが多く、管理職候補ではないと思います。

1年前には環境や社会に関心のある機関投資家は少なかったのですが、この1年でこの状況が一変した印象を受けます。環境・社会への対応が不十分な企業には、今後投資マネーが流れてこない可能性が高いのでは、と強く危惧されるほど機関投資家の意識が変わった印象を持っています

また、実際のビジネスにおいても環境・社会への対応が強く影響を与えることになるのではと感じています。これまでは良い製品やサービスを安く供給できれば顧客は満足していましたが、今後はこれに環境・社会対応が十分になされていることが購買の条件になっていくのだと思います。ミレミアム世代、Z世代と言われる世代が今後世界人口の中心を占めていくことが背景にあります。彼らはESG評価の高い企業の製品やサービスを購入・利用する傾向にあると言われています。

これまでは、ESGなど一時の流行りと考えたりしていましたが、機関投資家の考えが大きくこの1年で変化したことに鑑みると上場企業は真剣にESGの評価向上に取り組む必要があります。勿論、取り組むだけでは全くダメで「上手に取り組みを見せる」(開示する)ことが肝です。

あと、ガバナンス関係では政策保有株式の縮減は依然として機関投資家の関心も高いところと思います。アクティビストにとっては、政策保有株式の縮減の要求は機関投資家の賛同を得られる企業をつつきやすい材料と言えるので、政策保有株式の多い企業は本当に注意した方がよいと思います。恐らく日本企業の安定株主は今後2~3年でなくなるのではないでしょうか。