コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

企業民主化研究会の「企業民主化案」 (1947年公表)

本日は新年の最初のブログになります。はてなブログでは、自分のブログのアクセスの件数が分かるのですが(他のブログもそうだと思います)、昨年は毎日のアクセス件数が相当数あり、このブログを読んで頂いている方には心より御礼を申し上げるとともに、今年はより幅広に実務目線の情報を掲載していきたいと思っています。

さて、1月1日から日経新聞も休みであり、株式市場も動いていないため、コロナ以外のこれといった世の中の動きはないのですが、12月31日に1つ興味深い記事がありましたので簡単ですが紹介させて頂きます。記事のタイトルは「新時代の『企業民主化案』」です。

この企業民主化案というのは、経済同友会の発起人のひとりである大塚萬丈という人(当時の日本特殊鋼管社長)が、同友会が新しい時代の企業のあり方についての議論を集約するために設けた「企業民主化研究会」の委員長となり、1947年秋に発表した案で日経新聞記事などによれば、主張骨子は次のとおりです。

  • 経営、労働、資本の3者からなる経営協議会を中心に企業活動の民主化を進める
  • 資本と経営を分離し、経営機能は経営者が担い、監査機能は資本家が担う
  • 経営の最高意思決定機関として「企業総会」を設置し、経営者代表、労働者代表、株主代表の監査役による三者同数で多数決議する

労働者代表が経営に参画するという点ではドイツの法制に近い内容かも知れません。この民主化案は、修正資本主義的構想と言われ、経営者を著しく制約するものであまりに急進的な内容であったため、保守派からの激しい反発にあい、試案として公表されるにとどまったようです。

私はこの企業民主化案という言葉は、学生時代の会社法の講義では聞いたことがなく、教科書でも触れられておらず今回初めて知ったのですが、こういう議論が今から70年ほど前に出ていたというのは興味深いところです。ネットで検索すると原文も出てくるようです。2019年8月に米国のビジネス・ラウンドテーブルが脱株主第一主義として、ステークホルダー主義に転換をしましたが、その内容とも親和性があるような印象を持ちますので、後日、原文も読んでみたいと思います。

ところで、脱株主第一主義は、その後関連する法制が改正されておらず、あまり進展していないとの一部報道もありますが、最近の脱炭素を中心としたESGの流れを見ても全てのステークホルダーの利益を考慮する議論が益々強まるのだろうと思います。今年は上場企業を取り巻く環境が大きく変わる1年であると感じます。ESGに関しては、昨年12月25日に政府がグリーン成長戦略を公表しているので、週明けにこちらも一度読んでみたいと思います。