コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

昭和電工に買収された日立化成のリストラは今後加速すると思います - 上場子会社のサラリーマンの方は他人事と思ってはいけません

昨日、日立製作所が上場子会社である日立建機の売却に動いているという報道がありました。少し前には同じく上場子会社である日立金属も売却方向に動いているという報道もありました。日立製作所は上場子会社のリストラを加速していますが、本年6月には日立化成を昭和電工に売却しております。日立化成は、10月1日付で昭和電工マテリアルズという社名に変更しており、現在は昭和電工の100%子会社(非上場会社)です。

私の近い親戚の方が日立化成の本社に勤務していたこともあり(もう高齢で20年近く前に定年退職していますが)、親近感を持っており、その後、日立化成の売却報道なども興味をもって見ているのですが、10月23日の日経新聞昭和電工の社長のインタビュー記事がありました。

その中で、昭和電工と日立化成の両社が手掛ける事業を成長性等の観点で4つに区分して、不要なものはリストラするということが書かれていました。また、日立化成は現在、東京駅前の超高層ビルであるグラントトウキョウサウスタワー(賃料がかなり高額)に本社があるのですが、賃料を減らすために本社を昭和電工に集約する方向で検討するということです。

証券会社時代にいくつかの会社を見てきましたが、買収後、買収された会社は現状の状態が1年程度は維持されるのですが、その後に買収された会社の本社が買収会社のオフィスに移転することが良くありますが、ここからリストラは本格的に加速することが結構多いです。

買収会社の社員は、買収された会社の社員を「下に見る」のが常であり、物理的に距離が離れていれば買収された会社の社員の心理的ストレスは小さいのですが、これが物理的な距離が近くなることで、ストレスが非常に強くなり、負い目を感じるということが往々にしてあります。

リストラも加速する上に、強引なリストラをしなくても買収された会社の社員は毎日ストレスを感じ、自発的に退職するということになります(昔、私はこれを「暗黙の大人のいじめ」という表現を使っていました)。ただでさえ本社には収益に直接貢献しない管理部門のスタッフが多いところ、上場廃止株主総会、決算関係、IR・広報などの仕事に従事していた多くの人は全員余剰人員になります。これらの部門の方はまっさきにリストラされます。

日立化成のホームページを見ると役員構成の表示が消えたので、現在の役員構成が不明ですが、仮に買収前の構成としても、来年の株主総会においては社長以下の多くの役員はクビとなり、昭和電工出身者で占められるのだろうと証券会社時代での経験を踏まえて想像します。ただし、役員全員を昭和電工出身者にすると日立化成の一般社員の士気が大きく低下するので、ここ1、2年は半分程度までに抑えるのだと思います。

ということで、日立建機、日立金属もどこに売られるのか分かりませんが、売却され、しかも上場廃止となると、その会社一筋でやってきたサラリーマンには耐えがたい挫折となります。40代、50代で挫折を経験すると立ち直りも難しいと思います。現在、上場子会社に勤務している経営陣を含むサラリーマンの方は明日は我が身と考えて、自分の勤務する会社が売られることを想像して、リスクを軽減する方策を常日頃から考えておくことが大事と強く思います。こうしておけば、万一、そのような事態になっても挫折感は小さく済みます。