中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

東京個別指導学院(4745)がQ2(第2四半期)決算を公表

先週からQ2決算発表が始まりましたので、本日は、保有銘柄や今後の投資候補銘柄など各社の決算短信と決算説明会資料について確認し、数値をエクセルに纏めるなどして分析作業をしています。

昨日はベネッセの上場子会社である東京個別指導学院が20年度の1H決算(3-8月期)を発表しました。20年度Q1(3-5月期)とQ2(6-8月期)の3ヵ月比較で数値を並べると次のとおりです

  • 売上高  Q1: 2,134百万円 Q2:6,052百万円
  • 営業利益 Q1:△1,761百万円 Q2:  935百万円
  • 経常利益 Q1:△1,752百万円 Q2:  956百万円

Q1はコロナの影響で生徒数が激減するなどの影響で赤字に転落するなど業績が大きく低迷しましたが、Q2では生徒数が大きく増加したようです。営業利益も大きく改善しています。

今回、20年度の通期業績予想も公表しており、前年比では売上高は△12%、営業利益は△91%となっており、コロナの影響は21年中まで続くことを想定しているようです。ただし、直近の状況としては、個別指導塾の8月末時点の在籍生徒数は5月末時点より 4.0 ポイント改善しているほか、夏期講習会への申し込み数が計画を上回り好調に推移しているようです。

20年度の配当は年間26円として、これまでと同等を維持する予定です。同社はキャッシュリッチ企業で、Q2時点での株主資本比率は77%で、総資産に占めるネットキャッシュ比率も46%程度あるので、財務基盤は盤石です。今回のような非常時でも従来と同様の配当が維持できるというのはキャッシュリッチであるがゆえですね。

また、新中期経営計画(21年度~23年度)も今回公表しており、内容は次のとおりです(単位は億円)。

  • 売上高  FY21:221 FY22:239 FY23:257
  • 営業利益 FY21: 22 FY22: 26 FY23: 31

昨日の株価の終値562円と20年度の通期の業績予想数値でPERを算定すると(利益は経常利益×65%)160倍を超えますが、中期経営計画の数値をベースにざっくりと算定すると(営業利益=経常利益との前提)15倍~20倍程度になります。

20年度の数値はコロナの影響もあり正常な数値ではないので、中期経営計画の数値をベースにするのが妥当ですが、これによれば株価は割高とはいえず、同社の過去5年間のPERに比べるとかなり低いといえると思います。

東京個別の競合会社であるリソー教育は10月8日にQ2決算を公表していますが、Q2の3ヵ月はQ1と比較して売上及び営業利益ともに大きく回復しています。

コロナの影響で来年受験をする学生は勉強が大きく遅れていると思います。子供を持つ親が学習の遅れを取り戻すために頼りにするのが塾ですので、東京個別の今後の見通しも明るいように思います。その上で、ベネッセが東京個別を近い将来、完全子会社化することを期待しています。