中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

DCMが島忠へのTOB(株式公開買付)を公表

10月下旬から上場企業各社の四半期決算(7-9月期)の公表が相次ぎますが、本日は、各社の決算発表日の確認作業をしています。

私の場合、この時期は、業務上、四半期毎に自社の競合上場会社(国内と海外(欧州、米国))の決算資料の詳細分析・纏めをすることになるのですが、業務以外では、①投資先銘柄 ②投資先銘柄の競合会社 ③今後投資を検討する候補銘柄の3つの区分で約40社の決算短信と決算説明会資料の詳細読み込み・分析を行いますので、公私ともに10月下旬から11月上旬はかなりバタバタします。特に、国内の3月期決算企業は、今回のQ2決算では決算説明資料もかなり充実したものになりますので、丹念に読むことになります。

さて、昨日ですが、DCMが島忠へのTOBを公表するとともに、島忠は同時にTOBに賛成する旨の意見表明をしました。TOB金融商品取引法で手続が全て定められていますが、買収される企業は10日以内に意見を表明することとされております。DCMのプレスリリースを読むと今回のTOBのポイントは次のとおりです。

  • 買付価格は普通株式1株につき、金 4,200 円
  • 買付予定数の下限は50.00%
  • 買付予定数の上限については設定せず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行う

9月18日の終値に対して45%のプレミアムがついています。9月18日は、TOBを実施するという憶測報道がされ、DCMが「決定している事実はない」旨のお決まりのプレスを出した時点です。

コロワイド大戸屋TOBでは、上限が設定されていましたが、今回のケースは上限がないので、全部買取り義務があります。45%のプレミアムとは、島忠の株主にはとても美味しい話ですね。島忠も意見表明で応募推奨しているようです。伊藤忠のファミマのTOBでは、ファミマは反対ではないものの応募推奨はしませんでしたが、島忠は応募推奨をしています。

ところで、島忠の社長は岡野恭明という方で写真で見ると顔が若かったので、有報で経歴を見たところ1972年生まれで2003年に島忠に入社しています。島忠の保有株式数は、わずか1,000株となっています。オーナー企業の一族の社長かと思っていましたが、サラリーマンの方のようですね。

ところで、島忠の取締役は9名いますが、所有株式数は1人当たり1,000株又は0株となっています。社内のルールがあって1,000株にしているのだと想像しますが、取締役の保有株式数が少ないと株主の目線からの経営が出来ないという批判が良く言われるところで、まさしくその批判があてはまる典型的ケースですね。そういう意味でも上場を継続するより上場廃止の方がよかったと言えるのかも知れません。