コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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空間ディスプレイ銘柄の丹青社(9743)の事業等のリスク

昨日のブログで有報の「事業等のリスク」について書きましたが、私の保有するいくつかの中小型銘柄の「事業等のリスク」の開示を紹介したいと思います。本日は、空間ディスプレイ関連の丹青社です。同社の2019年度の有報では、事業等のリスクとして次の内容が記載されています。

<事業等のリスク>

(1)経済動向:当社グループの事業は、国内経済の動向により影響を受けます。例えば、個人消費の低迷により小売業の設備投資が減少した場合及び企業収益の悪化により企業の販促関連投資が減少した場合等は、百貨店、専門店、チェーンストア等の新改装需要が減少し、また、展示会、イベント等も減少いたしますので、商業その他施設事業及びチェーンストア事業の売上は影響を受ける可能性があります。また、政府及び地方自治体の財政状態の悪化により公共投資が削減された場合、博物館・美術館等の文化施設を含む文化施設事業の売上は影響を受ける可能性があります。

(2) 法的規制:(記載省略します)

(3) 設計・施工物件の品質・安全性:近年、建築物の品質・安全性につきましては、一層の配慮が要求されております。当社グループでは、設計・施工物件の品質向上・安全性確保を図る目的から、専任の品質・安全管理部門の設置や社内教育の実施等万全の体制を構築しておりますが、当社グループが設計・施工業務を受託した施設において、欠陥が見つかる可能性を完全に否定することはできません。そのような欠陥が原因となり事故が発生した場合、当社グループに対し損害賠償責任等の補償義務及びその他債務が発生する可能性があります。

(4) 事故による影響:(記載省略します)

(5) 災害による影響:(記載省略します)

(2)、(4)、(5)は一般的な記載内容ですので、記載は省略しますが、全体の開示としてはレベルが低いというか、詳細不明といったところですね。事業等のリスクをあまりに詳細に記載すると競合他社に弱みを握られるという課題があるのは良く理解していますが、この程度の開示だと、投資家から見ると何が本当の事業等のリスクであるのか良く分かりません。

丹青社の同業ですと、乃村工藝社(9716)とスペース(9622)がありますので、各社の有報の開示も確認したところ、丹青社と同様のレベルでした。各社とも2019年度の有報記載の改正に十分な対応が出来ていない様子の開示ですが、1つだけ分かるのは、景気変動をリスクの最初に掲げており、乃村工藝社は「特に重要なリスク」としています。空間ディスプレイは景気の変動に大きく左右されることが最大のリスクということは理解できます。

しかしながら、景気の変動に大きく左右されるのは、他の業界(小売り、外食等)も同じですので、もう少し踏み込んだリスクを開示して欲しいところです。