中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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スイミングスクールは今後期待できるのでは - ジェイエスエス(6074)

日経平均株価が、8月25日には2月に新型コロナで急落する前の水準を一時回復するなど上昇しています。GDPはじめ経済見通しは厳しい中、株価との乖離に懸念する声もありますが、年内に25,000円を超えるのではという運用会社の声も聞きます。まあ、運用会社の担当者などは予想屋にすぎないので、信憑性が何ら高いものではなく、株価の先行きは分かりませんが、株価は半年から1年先を織り込むと言われていますので、早い遅いはありますが、いずれ株価は回復するという至極当たり前の考えでいれば足るのかと思います。いずれにせよコロナワクチンの開発の影響が大きく株価を左右するのでしょう。

さて、前置きが長くなりましたが、ここ数日、毎朝、フィットネス関連銘柄のスクリーニングと分析をしました。結果、総合フィットネスクラブの先行きは暗いのではないかということは、先般のブログでも書きましたが、そのような中で、スイミングに特化した銘柄は期待できるのではと私は考えており、具体的な銘柄を1つあげて紹介したいと思います。

スイミングスクールに特化した企業としては、施設数の多い順にあげると、ジェイエスエス(84施設)、イトマンスイミングスクール(52施設)、スウィングループ(43施設)、ビートスイミングクラブ(36施設)、エヌ・エス・アイ(27施設)があります。この中で上場銘柄であるジェイエスエス(6074)に注目しています。2013年6月にジャスダックに上場した銘柄です。

まずは、総合フィットネスクラブと同様にコロナとの関係が非常に気になりますが、日本スイミング協会によれは、プールで使する次亜塩素酸ナトリウムはコロナの不活性化に高い効果があるようです。専門家ではないので詳しくは全く分かりませんが、コロナの感染の影響は少ないと言っているようです。

ジェイエスエスは、ジュニアからの競泳選手育成に定評があり、同社の決算説明会資料を見ると2019年度では、子供会員が85,876名、大人会員が11,268名となっており、子供が9割程度を占めます。これは過去5年間を見てもこの傾向です。大人会員は高齢者が多いようです。

子供のスイミングに対する関心はどうかという点ですが、株式会社バンダイが定期的に「小中学生のスポーツに関する意識調査結果」というものを公表していますが、2018年9月25日のレポートによれば、体育の授業以外で行っているスポーツ として、1位 水泳(15.7%)、2位 サッカー(8.9%)、3位 テニス(5%)となっており、過去4年間、トップ3に変化はないようですので、水泳に対する関心は以前から高い状況が続いています。

ジェイエスエスは、ネットデットが19億円あり、EBITDA(営業利益+減価償却)が2019年度ですと6億円で、ネットデット/EBITDA倍率で3倍程度となっております。売上高は85億円で、EBITDA率は7%です。2019年度は売上が前年度比で▲2.9%となりましたが、それまでは、過去7年間売上は増加を続けていました。スクール事業は、子供の場合、入会から2~3年の安定した在籍が続き、フィットネスクラブと違い会員の長期在籍が期待できるようです。

あと、注目したいのは、同社はニチイ学館が約25%の株式を保有していましたが、今年の3月に日本テレビ保有株式全株を売却し、現在は日本テレビの持分法適用会社となっています。日本テレビはフィットネスクラブのティップネスを持っており、相互補完を期待して取得したようで、詳細は、3月13日付の日本テレビのプレスリリースリリース「株式会社ジェイエスエスとの業務資本提携に関するお知らせ」に書いてあります。小型銘柄ですが、一般社団法人の証券リサーチセンターが「ホリスティック企業レポート」でジェイエスエスのレポートを出しています。

東京五輪の行方は気になるところですが、開催中止になっても、子供の水泳に対する関心は今後も継続すると思いますし、日本テレビとの提携で今後の更なる成長が期待できるように想像しています。株価は1月20日頃は約800円でしたが、現在は約400円となっています。