中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

東証再編と非上場化の増加の可能性 ー MBO実施銘柄を探す

8月14日の日経新聞に「東証再編 非上場化促す」という見出しの記事がありました。内容は、2020年春に予定している東証の市場再編を前にMBOにより上場廃止を目指す企業が増加する可能性があるかもしれないという記事です。

東証は2020年春に再編され、現在の市場区分がプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに区分される予定です(名称はいずれも仮称です)。このうち、プライム市場が現在の東証1部市場ですが、プライム市場に入る条件は、色々と議論されてきましたが、株式時価総額が100億円以上ですが、100億円を下回る場合でも現在の東証1部上場企業は希望すればプライム市場に入れるとされています。ただし、コーポレートガバナンス等の新基準を満たさない場合には、報告書を東証に提出し、進捗状況を定期的に開示することが必要になるようです。

とすると、このような煩雑な手続を嫌い、上場廃止を目指す企業も増えるのではないかということですが、私もその通りかと思います。

では、そうするとMBO実施により上場廃止する銘柄はどういう基準で探せばよいかですが、私は次の基準が1つの目安になるかなと考えます(MBO実施ということは、現在の市場株価に30%~40%のプレミアムを乗せてTOBがされますので、MBOを予想して株式を保有しておくとキャピタルゲインが得られるということになります)。

  •  株式時価総額100億円前後又は100億円以下
  •  オーナー企業(サラリーマン社長ではなく、オーナー社長)
  •  キャッシュリッチで資本市場からの資金調達の必要ないこと
  •  英文開示の弱い企業 
  •  外国人持ち株比率の低い企業(数パーセント以下)
  •  社外取締役の比率が3分の1以下

東証がプライム市場に求めるであろうガバナンス基準が明確でないため、なんとも言えないところですが、社外取締役の員数や英文開示の強化は求められるであろうと言われています。また、社長がサラリーマンの場合、上場廃止という選択は、社員の反発が強いことも予想されるので、サラリーマン社長には、その決断は困難が伴うように感じますし、そもそも非上場の社長になるというインセンティブはサラリーマン社長は普通持ち合わせていないと思います。

上記以外にも目安とする基準があるかも知れませんが、一般の個人株主でも知りうる情報として、上記は1つの目安になるように思います。四季報オンラインである程度まで対象企業の絞り込みが出来ます。

ただし、本当にMBOを実施するか否かは、会社の内情を知らないと分からないところがありますので(なんとかしてその会社の内情が分かると良いのですが)、MBOを予想して業績のぱっとしない株式を買ったものの、そのまま保有することになる可能性も大かと思いますので注意が必要です。