中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

物言う社員の増加 - 従業員意識調査が今後は重要

7月6日の日経新聞の経営の視点に「勢い増す『物言う社員』」というタイトルの記事が掲載されていました。物言う株主ではなく、物言う社員という言葉ははじめて目にしました。

記事の内容は、新型コロナウィルスへの対策が不十分として、米ウォルマートの社員が抗議活動を実施したり、トランプ大統領の問題発言を放置したことに対してフェイスブックの社員がストライキを起こすなど、米国では社員アクティビズムが広がってきているということです。

この背景にあるのは、ミレニアム世代やZ世代の増加ということです。これらの世代は、社会的課題への関心が高く、声をあげることで社会変動を実現できると信じる傾向が強いと書かれていました。

日本も含めミレニアム世代が環境等の関心が高いということは従前より言われているところです。つまりバブル期世代は、全てを金に換算して物事を評価する傾向が強いところ、ミレ二アム世代は、製品を購入するに際しても、その製品の価格だけでなく、環境に負荷を与えていないか、また、就職先を選ぶにしても、その企業の規模だけでなく、社会的活動も見て判断するといった傾向にあると言われています。今のESG投資というのもこのミレニアム世代の考えに沿ったものです。

このようなミレニアム世代の考えを聞くと私などは「本当か?」と疑いたくなります。私の世代は、親が高度成長期の世代であったこともあり、親の影響を強く受け、物事は全て金に換算して考えるという発想から脱却できませんので、ミレニアム世代の考えなどはまず理解できませんが、ダイバーシティーの世の中ですから、こういう考え方もあるのでしょう。

日本は米国と文化が違うので、この社員アクティビズムがすぐに流行るとは思いませんが、中長期で見るとこのような流れにはあるのだと思います。

最近、従業員の意識調査をする企業も増えています。この意識調査は従業員の本音が出ると言われています。社員アクティビズムを未然に防ぐという観点からは、こういう意識調査の内容は、今後、きちんと分析して対応することがより重要になるのだと思います。

機関投資家と会話をすると従業員の意識調査に関心を持つ投資家も増えている印象を持ちます。中長期で銘柄に投資する上で、従業員が会社のことをどう評価してるかを見ているのだと思います。社員の声を集めるサイトなどもありますが、個人投資家も投資先企業を選定する上で、こういうサイト(優良サイトです)で社員の声などを拾ってみるのもありかと思います。但し、こういうサイトは基本的に会社での処遇等に不満を持つサラリーマンが不満の捌け口として書いていることも結構多いので、1つの材料として活用するのがよいかと思います。