中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

投資銘柄の中長期の分析視点としての研究開発費

2019年度の決算発表も終わり、6月下旬から3月期決算企業の定時株主総会シーズンに入るかと思います。

総会終了後に有価証券報告書(有報)を開示する企業も多く(本年は金融庁が法改正をして、企業は9月末までに有報を提出することで差し支えないとされてはいます)、私も保有銘柄の有報をじっくり分析する予定です。

今年の有報では記述情報の改正が求められ、各社の有報の内容は、対処すばき課題や企業が考えるリスクの項目などについて、昨年の有報開示内容から大きく変わるので、機関投資家のみなず、個人投資家もじっくりと時間をかけて読み込む価値が高いと思います。

一方、株主総会の招集通知はたいしたことが書かれておらず、私の場合、6月に3月期決算企業の約30社超の招集通知が届きましたが、数社についてさっと眺めた後、議決権行使書と一緒に家のごみ箱に捨てています。決算短信を読んでいれば、投資銘柄の分析という観点からは、総会招集通知は読む価値は低いと私は考えています。

そのような中、6月13日の日本経済新聞に主要企業の2020年度の研究開発費に関する記事が掲載されていました。研究開発費を明確にした企業32社中、約8割の26社が2019年度の実績以上の研究開発費を考えているということです。一方、設備投資を減らす企業は約6割とのことです。

コロナの影響で需要減となるので設備投資を減らす企業が多いのは分かりますが、研究開発費は増やす企業が多いのは意外な印象を受けました。ただ、この26社のすべての個社名は分かりませんが、新聞では、トヨタ三菱電機エーザイ三菱重工TDKなど大手企業が掲載されており、体力のある超大手企業が多い印象を持っています。

売上減によるキャッシュフローの減少という厳しい環境下でも研究開発投資を継続する企業は、中長期の種まきに取り組んでいる企業であり、今後も期待できるようにも思えます。

上場企業の多くは、5月に決算発表をしたものの、2020年度の業績予想を未定にしていますので、現時点では2020年度の研究開発費を明示していない企業もかなり多いかと思います。

今後、有価証券報告書の公表の後に、どこかのタイミングで2020年度の業績予想予想とそれに合わせて公表されるであろう決算説明資料の分析をすることが個人投資家には、大事な作業になると思いますが、銘柄がメーカーである場合には、2020年度の研究開発費の数値にも注目するとその銘柄企業の中長期の動向を知ることが出来るかと思います。ということで、個人投資家にとって7月は銘柄分析の大事な時期になると思います。