6月の株主総会の準備で上場企業各社の総会担当者は例年にない準備に頭を悩ませ、非常に多忙かと思います。しかし、一方で簡素化できるところもあると思います。
5月15日の日本経済新聞の記事によれば、経団連が14日にガイドラインを公表し、その中で6月の株主総会は「来場者のない形での開催も検討」ということが明記されているということです。
私はガイドライン自体は読んでいないので、具体的にどういうことが書かれているかは分かりませんが、オンライン総会を開催することなどを提案しているのかも知れません。しかし、いきなりオンライン総会というのもなかなか難しいところかも知れませんので、書面での議決権行使を大前提にして、現実の出席は不要ということをガイドラインでは示しているのかも知れません。
ガイドランの内容はともかく、本年6月の株主総会は、そもそも個人株主で敢えて出席しようとする方は非常に少ないと思います。平日の午前中に開催される株主総会に出席する株主の95%程度は個人株主であり、かつ、定年退職したサラリーマンなどの高齢者がほとんどかと思います(機関投資家は実質株主ですので、多くの会社では株主総会には出席できないことになっています)。
とすると、高齢者が生命のリスクをおかしてまで、わざわざ株主総会に行くというインセンティブは普通は持ち合わせていないと思います。経営陣に何か不満をもっており「一言物を申したい」という株主、配布されるお土産が欲しくてしかたないという個人株主は別ですが。
とすると、従来、総会当日に備えて準備してきた作業の中で削除できるものも出てくると思います。直ぐに思いつくのは、株主総会の想定問答です。
多くの企業は、株主総会での個人株主の質問に備えて、想定問答集を準備しますが、個人株主の多くが出席しないわけですから、総会想定問答の重要性は低下します。勿論、出席する個人株主がゼロというわけではないので、想定問答が不要ということではありません。
このように本年の株主総会は準備が大変な事項も多いですが、一方、力をかなり抜ける事項もありますので、このあたりをきちんと考えて総会担当者は無駄のない作業を進めるとよいかと思います。