中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

長期投資の考え方ー澤上篤人氏の「長期投資家日記」より

この数日、日経平均株価が上昇し約19,000円となっていますが、アナリスト、ストラテジストのコメントなどをみると、暫くは17,000円~20,000円台が続き、本年後半には20,000円台前半になるという予想が多いような気がします。

しかし、皆さん感染症の素人で、そもそも株で飯を食っている人なので、株価が上がって欲しいという強いインセンティブの下での発言なので、信憑性は小さいと思います。やはり、コロナ終息の兆しはじめてが見えてくる、またはワクチンが開発された段階ではじめて株価は本格的な上昇局面に入るように思います。

今後、2020年4月~9月期の企業各社の決算はボロボロになるのですが(コロナによる本業不振、保有銘柄の減損等)株価の折り込みは進んでいるようにも思いますので、コロナからの回復の見通しが立てば、悪決算の影響は限定的かもしれません。しかし、これもまた予想ですので、あまり深く考えても仕方なく、そんな感じかなと念頭におきながら、企業分析を淡々としていけばよいのだと思います。

さて、ご存じの方も大変多いと思いますが、さわかみ投信の創業者である澤上篤人氏という方がおりますが、同氏が「長期投資家日記」というブログの中で4月9日に次のようなことを書いておりました。

  • われわれ長期投資家は株式市場の動揺に振り回されることなく、大きく売られたら買っておくの姿勢を貫く
  • 経済情勢や投資環境は、その時々で大きく変動する。その動向を読んだり、うまく対応しようとすると、マーケットに巻き込まれてしまう。マーケットでの値動きにぶつかっていくのは、ディーリング運用であって、投資ではない
  • 投資とは将来価値の高まりを読み込んで、大きく売られている間に買い仕込んでおくもの。したがって、パンデミックを大騒ぎして、株価全般がひどく売られたら、ためらうことなく買いに行く
  • 大事なのは、どんな企業の株を買うかだ。大きく下がったから、なにを買ってもいいというわけではない。いまも、将来も生活者としてずっと応援したいと思える企業だけだ。儲かりそうな株を買うというのではない。そこが本格派の長期投資で肝となるところ
  • 生活者としてなくなっては困る企業だからこそ、パンデミック騒ぎだろうと何だろうと、思い切って買いに行ける
  • 絶対になくならない企業の株式を応援するのだ。暴落相場こそ、応援のし甲斐があるというものだ

澤上氏は長期投資家をうたっている著名なファンドマネジャーですが、個人投資家には参考になる言葉と思います。

同氏は、「企業を応援する」という言葉を良く使いますが、個人投資家で投資先の企業を応援する意図など持つ人はまずいないと思いますので、この言葉は無視してよいと思いますが、長期投資の考え方としては上記考えは参考になると思います。

やはり投資の王道は、株価の低い局面で、将来も成長する企業を選別して投資するということにつきるかと思います。

ただし、今回のようなパンデミックで企業の業績が大きくマイナスの影響を受ける場合には、財務の脆弱な企業はそのまま破綻するリスクも結構あるので、そういうリスクのない企業(財務基盤のしっかりした企業)を精緻に選別する必要があります。選別の基本は次のとおりかと思います。

  • 割安(PBR、ROE、PERの3点で分析(PBR=ROE×PER))
  • キャッシュリッチの具合の分析(株主資本比率、ネットキャッシュ/総資産比率、ネットキャッシュ比率、手元流動性
  • 過去5年の売上高と営業利益の成長率
  • 将来の市場成長をできる限りの情報を収集し、自分の頭で将来を予想する

最初の3点については、アナリストレポートを最初から読むのではなく、決算短信、決算説明会資料、有価証券報告書を読み込み、エクセルに纏めて毎日株価をウォッチすることが重要なのだと思います。