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役員報酬のクローバック条項の動向に今後注目

2月8日の日本経済新聞武田薬品工業役員報酬でクローバック条項を2020年度以降に導入方針を定めたと掲載されていました。

クローバック条項とは、以前にもブログで紹介しましたが、会社に巨額の損失が発生した場合や会計上の不正が発生した場合に役員の業績連動部分の報酬を会社に返還させる条項をいいます。

役員の報酬については、資本市場の声や経済産業省コーポレートガバナンス改革の下において、業績連動部分の割合を一定程度増やすことが求められており、営業利益率やキャッシュフローの増減によって連動報酬を定める企業が増えています。つまり、当該年度の営業利益率やキャッシュフローの増減などによって、役員報酬の一定割合が決まということです。とはいっても、サラリーマンとしての家庭生活があるので、固定報酬が依然として役員報酬の多くを占めるという報酬設計がほとんどの企業ではあります。

このクローバック条項は一旦決まった報酬について、会社に後日損失が発生した場合に、役員に報酬の返還を求めるというものですので、その考え方としては、業績連動の思想そのものです。一旦決まった報酬が後日減額されることに報酬を貰う当人には抵抗感があるところとは思いますが、業績連動報酬というものは会社の業績に連動するのですから、その業績に後日変更が生じた場合に、役員の業績連動報酬が変動するのは当然といえば、当然のことです。

クローバック条項は米国の製造業の9割が導入ということですが、日本では数社導入しているにとどまっています。基本的に欧米で流行るものは、日本でも遅かれ早かれ流行るのですから、数年以内にはこれを導入する上場企業も増えるのではないでしょうか。上場企業で役員報酬設計に関わる方は動向を注視する必要があります。

また、個人株主の方は、投資先企業の報酬制度を有価証券報告書で一度しっかり分析すると面白いと思います。自分の武器が1つ増えることになるはずです。