前回、2月7日に「割安かつキャッシュリッチ銘柄企業に株主アクティビズムを行う際の視点1」を掲載しました。
今回は、視点2の株価向上施策の実施に向けた提案について書く予定でしたが、視点2は自分自身の考えを少々整理する必要があるので、時間のある週末にブログに書くこととし、他に2つほど気になった新聞記事がありましたので、今回と次回はこれらについて簡単に触れてみたいと思います。
まず今回は、ゾンビ企業について触れてみたいと思います。
2月9日の日本経済新聞に先進国でのゾンビ企業が増加との記事がありました。
「ゾンビ企業」や「ゾンビ事業」という言葉は、金融庁のフォローアップ会議の議事録を見るとある委員の方が何回か発言をしており、そういう言葉があるのかと当時初めて知り、漠然と意味は分かるものの正確な定義までは理解していませんでした。
新聞記事によれば、ゾンビ企業とは、数年に亘り債務の利払いすらままならずに経営破綻状態であるのに銀行や政府などの支援によって存続しつつづけている企業をいうようです。
このような企業は、日本を含む14ヵ国では、1980年代には2%しかなかったところ、現在では12%に増えているとのことです。その背景には各国の金融緩和によって低い金利の影響があると最近言われています。つまり、金融緩和による貸し出し金利の低下により、金融機関が収益をあげるため、リスクの高い企業への融資が増えていることが原因ともいわれています。
国際決済銀行(BIS)によれば、ゾンビ企業の定義は、「インタレスト・カバレッジレシオ(ICR)」が過去3年以上に亘り、1未満にある企業とされているようです。
ICR(倍)=(営業利益+受取利利息・配当金)÷ 支払利息
営業利益の代わりにEBITDA(営業利益+減価償却費)を用いることもあります。
この指標は有利子負債の金額が身の丈にあっているかを測定する指標です。
これが1倍を下回るということは、本業での利益に金融収益を加えた利益よりも銀行に支払う利息の方が大きいので、営業外収益や特別利益が一定程度ない限り、当期純損失になります。結果、バランスシート上の株主資本にある繰越利益剰余金が減少するので株主への配当もままならなくなるということです。
当期赤字であっても銀行は支払利息を得られるので何ら不満はないでしょうが、株主は配当がもらえないことになります。日本企業のROEの低下はデットガバナンスが原因といわれています。収益率の低い企業に銀行が融資しつつづける結果、ROEが低下し、ひいては株主の存在がないがしろにされているということです。
次回は「コーポレートガバナンス・オブ・ザイヤー2018」の経済産業大臣賞についてブログで簡単に書き、週末に「株主アクティビズムの視点2」について書きたいと思います。