昨年から割安かつキャッシュリッチ企業のスクリーニングを行い、結果、株価の低い1月に数銘柄のスモールキャップの東証1部上場企業の株式を購入しました。
3月期決算企業のため今後は本年6月の株主総会に向けて投資先企業の分析を進める予定ですが、自分の考えの整理も含めて、個人株主が投資先企業に提案を行うとした際の(自分がするわけではないですが)視点と具体的に考えるべき事項について、つらつらと書いてみたいと思います。
投資先企業に提案する視点としては、次の2つになります。
視点1 配当増の要求
視点2 株価向上施策の実施の要求
視点1について、考えるべき順番とポイントは次のとおりです。
①配当性向の確認
配当性向は30%が日本の上場企業の目安です。しかし、これは何の根拠もない数値であり、配当は利益剰余金と保有するキャッシュで決まります。配当性向は単なる1つの参考値に過ぎないと私は考えます。当然30%より低ければ、配当増の指摘を補強するネタになります
②保有するキャッシュ(=現金+有価証券+投資有価証券(政策保有株式))の確認
A:ネットキャッシュ対総資産比率(=ネツトキャッシュ÷総資産)
B:手元流動性比率(=ネットキャッシュ÷月商)
Aについては、30%、Bについては3ヵ月以上もあれば多いように思えます。ネットキャッシュの中で政策保有株式が潤沢にある場合には、この保有の意義が乏しいことを問えます。その際のポイントは、次のとおりかと思います。
・コーポレートガバナンス・コードに基づく保有の合理性の適否の具体的な検証の方
法はどうしているのか? コーポレートガバナンス報告書で各社開示していますが、多くの企業は横並びの雛形的記載のため、詳細を質問する
政策保有株式はそもそも保有の意義がなく、いくらだ妥当と思われる理由をあげたところで、過去の経緯があり保有しているのがその実体なので、基本的に投資先企業からは納得のある回答がないのが事実だと思います。このため、基本的に余剰資金と同じ位置付けと考えることができます。
③現在の配当を一定程度増やしたときのバランスシートの仕上がりのシミュレーション
要は会社が仮に1株当たり配当40円としているところを80円にしたと仮定して、この場合のバランスシートを簡単に作成。といっても変化するのは、バランスシートの現余預金の減少と自己資本の部が減るだけであるので、これで株主資本比率が多少減っても影響ないことを確認。
以上が視点1の配当増の観点からの投資先企業への提案です。
どこの書籍にも書かれていないことですが、企業や資本市場関係者の考える課題等は認識しているつもりですのですので、考え方に大きな誤りはないかと思います。
なお、コーポレートガバナンス・コードでは、取締役の資質、社外取締役の員数、指名委員会の設置等が言われていますが、視点1の観点からの提案にはほぼ役に立たないと思います。
これらはマネジメント体制不備から株価の低迷を指摘する材料であるので、視点2の点で使用できるのかと私は思います。
視点2については、次回書きたいと思います。