本日、小林製薬(4967)が来年3月に開催の株主総会終結の時で更新期限を迎える買収防衛策を継続更新しないことを決議したと公表しました。小林製薬は、時価総額約7000億円で、外国人株主比率が約22%となっています。
開示文を見ますと、廃止の理由として次のようなことが挙げられています。
・買収防衛策に関する近時の動向、金融商品取引法による大量取得行為に関する規制の浸透等により、株主の皆様に適切なご判断をいただくため、必要な情報や時間を確保するという本プランの導入目的は一定程度担保されつつある。
・当社はESGや中長期的な経営戦略の視点から、株主の皆様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係の維持に配慮し、コーポレート・ガバナンス体制をさらに強化していくことが当社の企業価値・株主共同の利益の継続的かつ持続的な確保・向上に資するものである。
時価総額7000億円クラスで買収防衛策を導入している企業は多くはないと思いますが、小林製薬は最近の買収防衛策への批判もあって廃止したことと思います。
また、そもそも買収防衛策の発動要件を小林製薬は20%以上の株式取得としていますところ、時価総額の20%である1400億円で買収を仕掛ける買収者は通常は想定し難く、一方で、数パーセントの株式を取得して他の一般株主の賛同を得る最近のアクティビストには買収防衛策を適用できないということから買収防衛策が発動する局面は極めて低く、買収防衛策を有することがレピュテーションリスクになるので廃止したというのが本音と思います。
時価総額の大きい企業は、今後更新期限の到来を待って廃止するケースが益々増えると思います。