日本生命、第一生命が投資先企業に対して、集団的エンゲージメント(対話)を開始するとの報道が先日ありました。
集団的エンゲージメントは、2017年4月に改訂されたスチュワードシップコードにお
いて「集団的エンゲージメントも有益である」として評価をされています。報道によれば、情報開示などで一定水準以下にある投資先企業約100社に対して、改善を促す書簡を連名で送付するということのようです。
最近の報道ですが、シンガポールの投資会社であるCGIが投資先の日本企業との対話に重点を置くといった報道や米国の運用会社であるブラックロック(日本株は約30兆円運用)が一定比率の株式を保有する投資先の日本企業に、コーポレートガバナンスの改善を促す書簡を送るとの報道もありました。
機関投資家とのガバナンスを中心とした対話の動きが非常に活発化していると感じます。
勿論背景には、政府が主導するコーポレートガバナンス改革で日本企業の中長期的な企業価値向上を図る上で、ガバナンス等の非財務情報の対話が必要と言われていることがあります。
今回の報道でこの集団的エンゲージメントに参加するのは、他に明治安田生命保険、住友生命保険を含めた大手4社のほか、かんぽ生命等の合計10社が参加する予定とのことです。
集団的エンゲージメントについては、以前にもブログで触れましたが、具体的には議決権行使まで一緒に行うことはないように考えます。投資先企業に質問のみならず、共同で議決権行使まで行うとなると大量報告報告書も共同で提出することになるので法的にも問題ということでしょうか。たしか、以前にある機関投資家もそういうことを言っていました。
従って、生保各社は、投資先企業のガバナンス情報を収集した上で、自社の議決権行使基準に従って、個別に議決権を行使することになるのではないかと想像します。
機関投資家各社は、投資先の個社企業別に分析をして対話をするよりも共同で対話をした方が効率性が良いということは当たり前のことですので、この動きは今後増えると思います。