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更新期限到来前の買収防衛策の廃止が今後増える可能性

2017年12月6日に日清食品ホールディングスが買収防衛策を取締役会の決議により廃止することを決定したとのプレスリリースを開示しました。

同社では、2007年に買収防衛策を株主総会の承認を得て導入、以後3年毎に株主総会の承認を得て更新し、直近では2016年に更新して2019年3月期の株主総会までが有効期間となっておりますが、今回、更新期限の到来を待たずに廃止を決定したようです。

廃止理由については、同社のプレスリリースを見ると、次のような記載があります。

「当社を取り巻く経営環境の変化や買収防衛策を巡る近時の動向を注視しつつ、本プランについて、経営諮問委員会や取締役会、経営会議で繰り返し議論を重ねてまいりました。その結果、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、当社における本プランの必要性が相対的に低下したものと判断し、当社は本日開催の取締役会において、本プランを廃止することを決議いたしました。」

廃止の決定に当たって、十分に社内で討議したことが書かれています。

私の知る限りですと、自発的に更新期限到来前に廃止をした企業は聞いたことがありませんので、非常に稀なケースと思います。

背景は、おそらく議決権行使助言会社であるISSが議決権行使の改定案を出し、買収防衛策議案については有効期間を3年とする1回限りの導入の場合にのみ賛成し、それ以外は反対という方針を打ち出したことが理由の1つにあるようにも思えます。

ちなみに日清食品の株主構成を見ますと2017年3月末では、外国人比率が16%とそれほど高くはないようです。

今回の開示でまた気になったことは、廃止する際には取締役会の決議で本当によいのかという点です。導入、継続には株主総会の決議を必要とし、廃止の際には株主総会又は取締役会の決議で廃止できるとなっているのが多くの企業の買収防衛策スキームかと思います。

このため、取締役会決議で廃止すること自体は法的には問題はないのかも知れませんが、昨年の株主総会で株主の承認を得て継続しながら1年後に株主の同意を得ずに廃止するのは、少し違和感があるような気もいたします。

今後、このように買収防衛策を廃止する企業がぽつぽつ増えるとなると、現在導入している400社を超える多くの企業も廃止を検討せざるを得ない状況になり、廃止が急速に進む可能性もあるように思えます。

とすると何が起こるかですが、東芝に投資している数多くの海外アクティビストが東芝の投資を通じて日本市場への造詣が深まり、買収防衛策の廃止により、より日本企業をターゲットにする可能性があります。

来年に入ると3月期決算企業の多くは、株主総会の議案の検討に入りますが、来年買収防衛策の更新期限を迎える企業は、継続の是非について頭を悩ませることになるものと思います。