11月6日の日本経済新聞に、「政策保有株の透明性確保へ 金融庁が開示巡り議論」とのタイトルがありました。
金融庁は企業統治関連の会議で政策保有株の透明性を高める施策について議論をしたようです。新聞記事では、政策保有株式は経営者の地位の安定に資するものとの金融庁職員のコメントがあり、株式の保有を法令で禁止することも検討する必要性について触れているとのことで、金融庁は企業に保有の合理性を開示するよう要請し、投資家向けの説明資料を作成することを求めるとのことです。
政策保有株式については、従来、企業経営から緊張感を奪い、悪い影響があり、投資先企業の資本効率の悪化や財務基盤の不安定化につながるとして投資家より批判がなされており、コーポレートガバナンス・コードにおいても、政策保有株式の開示の強化を求めており、結果として保有の見直しを間接的に求める内容となっています。
具体的にコーポレートガバナンス・コードでの記載は次のとおりです。
【原則1-4.いわゆる政策保有株式】
上場会社がいわゆる政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について具体的な説明を行うべきである。上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための基準を策定・開示すべきである。
今回の新聞報道を見る限りにおいては、政策保有株式の削減を求めているものではないとは思いますが、コーポレートガバナンス・コードで「方針を開示すべき」となっていることよりも更に踏み込んで、合理的に説明することが必要になってくるような様子です。この点は引き続き注視して行きたいと思います。