本年の株主総会での生保、機関投資家、信託銀行による議決権行使結果の集計結果が時々報道されています。つい先日の新聞報道によれば、大手信託銀行4行の総会議案(会社提案議案)への反対率が上昇し、10%台後半になったとのことです。
スチュワードシップ・コードの要請に従い、総会の議決権行使結果について個別開示を本年より行うことになった機関投資家などは、自社の議決権行使基準を見直すなどして、基準に即した判断を行うことになった結果、議決権行使基準を充足していない企業の株主総会議案に対する反対が増えたということかと思います。
この記事を読んで思ったのですが、以前に機関投資家数社と対話をした際には、機関投資家が議決権行使基準に即した議決権行使をすることになれば、自社の議案が基準を充足しない場合には、機関投資家等との対話などはそもそも必要がなくなるのではないかと考えたりもしました。
しかし、新聞報道によると、機関投資家は必ずしも機械的に行使基準をあてはめているわけではなく、投資先企業との対話で改善が見られたり、実態が異なっている場合には賛成票を投じているようです。
とすると、企業としては、今後、機関投資家、生保等の投資家の議決権行使基準を確認し、議決権行使基準に照らして自社の議案が基準を充足していないが改善を検討している場合、自社の開示書類の記載から議決権行使基準を充足するかどうか機関投資家が判断できないであろうと考える場合には、機関投資家と積極的に対話を行うことが重要になります。