中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

富士興産と投資ファンドの攻防ー アスリード・キャピタルの主張は読むに値します

アスリードの公開資料の中で上場企業の経営トップにとって念頭に置くべきと思われる事項について解説をしたいと思います。念のためアスリードの公表文を掲載します。 https://www.aslead.com/fujikosan/Aslead_Fujikosan_Press_20210728.pdf この中の「2 公…

有価証券報告書での気候変動リスクの開示義務化の検討開始 ー 上場企業の経営者はESGアクティビズムを意識する必要あり

7月26日の日経新聞の1面にありましたが、金融庁が企業の気候変動リスクに関する開示を義務付ける検討に乗り出すようです。今夏にも検討会議を立ち上げ、有価証券報告書に記載を求める議論を始め、早ければ2022年3月期の有価証券報告書から開示を義…

技術カルテル摘発 ー カルテル違反の疑いを持たれないようにするためには

昨日、技術カルテルの件を書きましたが、では、競合他社とアライアンスを検討する際にはどうしたらよいでしょうか? まずカルテルの摘発を受けたことのない多くの日本企業は、特に注意を払うことなく、競合会社と会議をしたり、交渉しているのだろうと想像し…

技術カルテル摘発 ー 技術に関する競合他社との取り決めも要注意

本日は話題を変えて、法務関連のネタを紹介します。本日の日経新聞に「技術カルテル」摘発との記事がありました。 フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーなど5社が定期的に会合を持ち、有害な排ガスを浄化する法令基準以上の技術があるにもかかわらず、競…

書籍紹介「ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること」(幻冬舎新書)

本日はごく簡単に書籍を紹介します。数ヵ月前に読んだ本ですが、「ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること」(幻冬舎新書)です。著者は苦瓜達郎氏(1990年東大経済学部卒)で、国内中小型株式部門で過去6年連続で優秀賞等を受賞した三井住…

上場企業の長期・超長期プランには機関投資家は関心ないと思います ー 何事も経営トップの在任期間にフォーカスすべき

7月21日に経済産業省が新しいエネルギー計画を公表しました。既に新聞報道のとおりですが、30年度の比率を①再生エネで36~38%②原子力で20~22%③温暖化ガスを排出しない水素やアンモニアによる発電で1%④火力で41%と提示されました。19年度…

特定標的型・有事導入型の買収防衛策のすすめ ー 事前警告型買収防衛策の代替スキーム

昨日は連休初日でしたが、家族4人で神奈川県にある大きなプール施設に行きました。朝に車で家を出て帰宅が20時と丸1日かかりましたが、屋外で1日過ごすと気分爽快ですね。本日は、メインイベントである家の掃除のほかに、新聞情報整理、ツイッターチェ…

明治ホールディングスが中期経営計画で「ROESG」なる指標を開示 ー 投資家に分かり易い開示を心がけていますか?

先日の日経新聞で次の記事のとおり、明治ホールディングが中期経営計画で独自指標の目標数値として、「明治ROESG」という指標を改善する計画を公表しました。 ROESGは、ROE×ESG指標目標値×明治らしさ目標達成で構成されます。 自己資本利益…

出席型のオンライン株主総会はまだまだ少ないですね ー 個人投資家としては今後の増加に期待

7月17日の日経新聞に「オンライン総会浸透」との見出しの記事がありました。オンライン総会とは、株主総会を同時配信するなどオンラインを併用した株主総会のことをいい、映像配信だけの「傍聴型」と質問や議決権行使が可能な「出席型」の2つがあります…

プライム市場に入る中小型銘柄の経営トップは機関投資家との対話(エンゲージメント)の充実が必須

7月9日に上場企業各社に対して上場区分の一次評価の結果が通知されました。通知といっても書面で郵送されてくるのではなく、企業各社とも東証からの連絡窓口を決めメールアドレスを東証に登録しているので、この登録先にメールで通知がされます。 今回の一…

2030年度電源構成 で原発は20%維持 ー ベントナイトは中長期で期待

今更ですが7月1日からツイッターを始めました(ツイッターの利用年代は30代が多いようですね)。フェイスブックは2年ほど前に一度やったのですが、その後やめてしまったのですが、ツイッターは初めてです。ブログとの連携など色々と工夫できるようです…

東京ソワールが臨時株主総会の議案補足資料を公表 ー 買収防衛策のスキームが分かりやすく書いてあります

東京ソワールですが、7月30日に臨時株主総会を開催して買収防衛策の導入について株主の承認を求める予定ですが、7月15日に議案の補足説明資料を公表しました。https://www.soir.co.jp/wp-content/themes/tokyo_soir/pdf.php?postid=22605 今回の買収防…

「一律の株主還元と距離」 ー 距離をとった分は株価を上げなければなりません

7月13日の日経新聞で「一律の株主還元と距離」ということで、日証協会長のインタビュー記事がありました。一部抜粋すると次のとおりです。 1日付で就任した日本証券業協会の森田敏夫会長はアクティビスト(もの言う株主)への対応に関して「最近の傾向と…

東京ソワールが臨時株主総会の議案を決定

フリージアマクロスに13%程度の株式を保有されている東京ソワールですが、7月9日に臨時株主総会の議案を公表しました。 https://www.soir.co.jp/wp-content/themes/tokyo_soir/pdf.php?postid=22594 議案は次の4つですね。 第1号議案 フリージア・マ…

取締役会のスキルマトリックス ー 時間をかけて真剣に考えるようなレベルの話ではないです②

前回、取締役のスキルマトリックスについて、真剣に悩み時間をかける必要は全くないことを紹介いたしましたが、今回、その理由について説明します。 スキルマトリックスは取締役会のメンバーのスキルを一覧化したものですが、これが使用される局面は、株主総…

経営トップはステークホルダー資本主義を万能な「言い訳」にしてはいけません

最近、ステークホルダー資本主義なる言葉が色々なところで言われています。米国のビジネスラウンドテーブルで取り上げられてから、日本でも言われはじめているところかと思います。昔は株主資本主義でしたが、今は、ステークホルダー資本主義です。 さて、こ…

取締役会のスキルマトリックス ー 時間をかけて真剣に考えるようなレベルの話ではないです①

日経新聞の1面で「企業統治の現実」という記事が連載されています。3年前のコーポレートガバナンス・コード改訂の時はここまで日経新聞で取り上げられた記憶があまりないのですが、企業統治に関して、従来よりも世間の関心が高くなっていることの現れかと…

上場企業が物言う株主から自社を守るための武器(第3回) ー 安定株主はいないと本当に困りますか?(その2)

前回、安定株主がいなくても実質的には困らないことを説明しました。では、「通常の場合はそうだとしても、もし、企業に大きな不祥事があったり、業績低迷が連続している場合は安定株主がいないと困るのでは」と疑問を持つ経営トップの方もいらっしゃるかと…

上場企業が物言う株主から自社を守るための武器(第2回) ー 安定株主はいないと本当に困りますか?(その1)

前回、第1回で政策保有株式に関する資本市場の動きをご説明しました。結論としては、政策保有株式の縮減は今後も資本市場から強く求められる事項であり、物言う株主から指摘を受け、騒がれる前に縮減する必要があるということでした。 本日はここから発展す…

「アクティビストのように考える」 ー これがとても大事です

7月1日の日経新聞の夕刊に非常に興味深い記事があったので、紹介します。 物言う株主から自社を守るためには、物言う株主目線で自社を見る必要があることをブログで書いてきましたが、同じようなことが日経新聞に記載されていました。「アクティビストのよ…

上場企業が物言う株主から自社を守るための武器(第1回) ー 対話ガイドラインにおける政策保有株式の記載

今回から「上場企業が自社を物言う株主から守る武器」として、いくつか重要と思われる論点を掲載したいと思います。企業が物言う株主から自社を守るには、経営トップはじめ経営陣が物言う株主の立場になり、先んじて検討・対策をすることが何より重要です。…

ゼネコン各社の政策保有株式の縮減状況(2020年度アップデート)ー大林、大成は縮減があまり進まず。一方、西松は大きく縮減

ゼネコン各社の2021年3月期の有価証券報告書が開示されました。以前にもブログで主要各社の政策保有株式の増減数を書きましたが、2020年度の数値をアップデートします。 有価証券報告書の「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」の中の「…