中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コンサルを上手くハンドリングすることが大事です

今年最後の記事となりますが、12月24日の日経新聞に「コンサル依存社会の死角」というタイトルの次の記事がありました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67121520T21C22A2EN8000/

一言で纏めると、コンサルに依存する社会は当事者の思考停止を招き、主体性を喪失させる可能性があり、企業は当事者意識をしっかり持つ必要があるといった内容です。個人的には興味深い内容で「その通り」と感じました。

仕事においてコンサルを使う企業は非常に多いと思います。会計コンサル、取締役会実効性評価等のガバナンスのコンサル、ITコンサル、法律事務所(弁護士)などの沢山のコンサルが存在します。そして、彼らコンサルに企業は、決して安くないお金を払っています。

問題は、企業の担当者はコンサルにカモにされていないでしょうか?ということです。私のまわりを見ていて思うのは、コンサルの窓口の企業の担当者が結構無知で、コンサルに言われるがままになっているケースが多いということです。つまり、コンサルに上手く利用されているということです。コンサルが右と言えば右、左と言えば左を向いている企業の担当者は、世の中結構多いのではないでしょうか。

しかし、それではいけません。コンサルをハンドリングするのが企業の担当者の役目です。一方、ハンドリングされる側のコンサルはプロですので、そのプロをどうハンドリングすれば良いのでしょうか?

それは、企業の実務担当者が高い理論武装をすることが必須になります。勿論、細かく全てを理論武装せよということではないです。それが出来たらコンサルは不要になってしまいます。ある案件を依頼するのであれば、その案件の本質の部分について十分に理解しておくことが必要です。これが出来ないとコンサルに言われるがままになってしまいます。コンサルに求められるがままに資料を集めたり、社内の人のスケジュール調整をするなどの雑務でバタバタして、終わってしまうということです。

このように単なる作業員の役割しか出来ず、脳に汗をかく能力のない人物を企業の窓口担当者にそえるとコンサルの絶好のカモです。企業としては、コンサルにカモにされないようにするためにも、十分な知識と実務経験を有する方を窓口にすることが大事です。

さて、年内最後の記事になりましたが、この1年間、ブログをご覧頂いた方には心から御礼申し上げます。拙い文章で、時々、「あれっ?」と思うような内容もあったかも知れませんが、どうかご容赦下さい。年明けも実務に有用な情報を定期的にブログで更新して行く予定です。フェイスブックページも作成しましたので、まだ記事の投稿等が良く分からず、ネットを見て学習中の段階ですが、そちらでもブログ記事をリンクさせていきたいと思っています。来年も引き続きブログをご覧頂ければ幸いです。

キューピーが事前警告型の買収防衛策を非継続

銀行、証券会社は30日まで仕事の方も多いと思いますが、それ以外の業種の方は本日が仕事納めという方も多いのではないでしょうか。私の場合は本日が仕事納めです。年末の社内の忘年会もこの数年開催しておらず(会社の方針です)、社外の方も交えてのオフィシャルな会食を除けば、社内の方とは1年で2~3回程度しか飲んでおらず、社内の人間関係はこの数年でかなりドライになりましたね。代わりに、自己啓発や副業準備にかなりのリソースを割けた1年でした(飲み代も節約できるし)。最後に頼れるのは己の能力・技術ですので、来年も今年以上に頑張って行きたいと思っています。先日は「フェイスブックページ」(個人のフェイスブックとは別です)を作成しましたので、こちらでも年明けからは情報発信をしていく予定です。

さて、前置きが長くなりましたが、キュピーが買収防衛策の非継続を決めたようですね。12月28日のプレスリリースになります。

https://www.kewpie.com/ir/pdf/ir_221228.pdf

キューピーは2008年に導入して以来、更新を継続してきましたが、今回で廃止ですね。今時点の正確な数値は知りませんが、数年前に調べた時は食品業界は防衛策導入企業は結構多い印象でした。というのも、2000年はじめにスティールパートナーズに狙わたのはブルドックソースですが、その影響もあり、小型銘柄の多い食品業界は買収防衛策を導入する企業が多かったと記憶しています。プレスに次の記述があります。

現時点においても、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するおそれのある大量買付行為が行われるリスクは依然として存在しており、当該リスクに対して十分な備えを行うことは取締役会としての重大な責務であると認識しております。その一方で、買収防衛策をめぐる近時の動向も踏まえると、いわゆる事前警告型の買収防衛策を準備しておく必要性は相対的に低下していると思料されることから、来年2月の有効期限に向けては、取締役会でも本対応方針の存廃について議論を重ねてまいりました。 

キュピーの株主構成は見ていませんが、機関投資家の賛同を得ることが困難であるなどの理由もあったのだと想像します。定款の規定も廃止するのですね。細かいですが、買収防衛策を導入した際に定款変更をした企業もあると思いますが、防衛策の非継続に伴い定款規定は廃止するのが望ましいですね。

象印マホービンに投資ファンドが買収防衛策の廃止の株主提案のようですね

象印マホービン投資ファンドから買収防衛策の廃止の株主提案を受けているようですね。12月26日の日経新聞の記事になります。

象印マホービンに株主提案、買収防衛策の撤廃: 日本経済新聞

象印も次のとおりプレスリリースを出しております。

https://pdf.irpocket.com/C7965/fhjD/dyV0/PaRD.pdf

株主提案に対する取締役会の意見はこれからのようですね。株主提案がとおるかどうかは象印の株主構成に大きく左右されます。

ブログでも何度も書いておりますが、事前警告型の買収防衛策については、海外機関投資家と国内機関投資家の賛同を得るのは非常に厳しいのが現状です。国内機関投資家の賛同を得るには、最低でも社外取締役の比率が取締役会の過半数であることが必須で、これを充足していないと足切りにあいます。まあ、そもそもこういう機関投資家の判断で良いのかという疑問もありますが。

象印の株主構成は見ていないので、今回の株主提案がどうなるかは私は何とも言えませんが、もし、機関投資家保有比率が高いということであれば、事前警告型買収防衛策の保持にリソースを割くよりも、さっさと廃止して逆に資本市場からの評価を高め、経産省の研究会の議論の行方を注視した方がよいかも知れません。

ということを考えると、経産省が来年春頃に策定するガイドラインは、企業、投資ファンド等の物言う株主はじめ資本市場関係者の関心がとても高いものになるのかも知れませんね。ブログでもしっかりと研究会の議論はフォローしていきます。

「公正な買収の在り方に関する研究会」での参考になる意見を紹介します! ー 第2回議事要旨より

本日は第3回会議のはずですが、事務局資料はまだ経産省のホームページには掲載されていない模様です。本日は第2回会議(12月1日)での議事要旨から、各委員の発言の中から興味深いと私が思った箇所を抜粋・紹介します。なお、第2回の議事要旨は次のとおりです。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kosei_baishu/pdf/002_gijiyoshi.pdf

5ページからの抜粋になります。なお、以下において太字又は黄色でハイライトした箇所は私が強調のため記しましたので、ご了承下さい。

アメリカ型の現行インフラを、日本において否定すべきではない。経営陣が日常的に会社を経営している中で企業価値について相対比較で一番分かっているはずなのに、買収防衛策の話になると、経営権の帰趨に関するもので利益相反があるとして、全て株主が判断する必要があるという話になることには違和感がある。

これは2年ほど前にある大手の機関投資家の方も同じようなことを言っていました。何でも株主に任せるのは良くないと。私もそう思います。次に6ページからの抜粋になります。

平時導入型買収防衛策を全否定する必要はない。買収防衛策を導入することで買収者の情報開示等や企業価値等の側面においてプラスの側面があるにもかかわらず、機関投資家ステレオタイプに、そうした手続を導入すること自体に反対するとか、経営陣の選任議案に対して反対するということはおかしいのではないかアメリカでは判
例法で、EU では制度で、こうした手続が整備されている一方で、日本にはいずれもない状況なので日本企業は買収防衛策を手続として導入しているわけだから、手続に対する誤解を解いた上で、平時導入型買収防衛策の可能性は残しておくべきではないか。

これも全くその通りかと思います。機関投資家と会話をすると、買収防衛策のことが分かっていないと感じることも案外多いです。勿論、表面的なところは理解しているのでしょうが、会社サイドから一歩踏み込んだ質問を機関投資家の担当者にすると「この人、深いところは全然分かっていないな」と感じることが、私の経験則上、複数回ありました。それもあってステレオタイプな反対となるのかも知れませんね。次に9ページからの抜粋です。

対抗措置の必要性について、いかなる買収提案であっても、対象企業が、現経営陣
のもとで果たしてきた社会責任が継続的に全うされるのか、様々なステークホルダーにも意見を聴きながら検討・交渉して判断するための十分な情報と期間は必要である。その中で、企業価値・株主共同の利益が毀損されるかを判断する際に、従業員・顧客・取引先・地域社会等のステークホルダーの利益が毀損されるかどうかという点も考慮すべきであることを指針にぜひ加えていただきたい

他のステークホルダーの意見を聞いて欲しいということですね。買収防衛策はどうしても株主の意思を毀損するか否かが優先されてきましたが、他のステークホルダーの意見も加えるべきかと。2005年頃は「会社は株主のもの」という考えでしたが、この考えは今は古いので。最後に11ページからの抜粋です。

最後に、新たな指針を作るにあたっては、機関投資家の行為規範を是非作っていただきたい。大手機関投資家のなかには、事案の個別性が強いため本来個別判断がなされるべき有事導入型買収防衛策議案であっても、議決権行使基準にある「買収防衛策」の定義では平時・有事を区別していないというそれだけの理由で議決権行使基準に基づき形式的に判断するという投資家がいる。これでは本末転倒である。また、ROE5%未満だから買収防衛策や対抗措置の発動に反対するという投資家もいるが、ROE5%未満だからといって、買収者がどれほど属性が悪くても(極端にいえば反社会的勢力や反市場勢力でも)買収防衛策や対抗措置の発動に反対するのかという話になる。本来的には有事には個別判断が必要。そういう規範を入れてもらわないと、株主意思に全面的に委ねることにも危険が伴う。そういう観点で、機関投資家の判断のガイドラインを指針に盛り込んでいただきたい。

この発言ですが、とても大切と思います。読んでいて「そうだよな」と感じます。先に触れたように、買収防衛策等の議決権行使に関与する機関投資家(いわゆる責任投資の関係の方)の資質というか、能力はまだまだかなと個人的には感じることもあります。議決権行使は企業の経営に重大な影響を与えるものですから、機関投資家には買収防衛策については深い理解の下で、個社の事情を踏まえた、議決権行使をしっかりとして欲しいなと思います。1社に十分に時間をかけられないというのであれば、担当者を増員するか、投資先銘柄数を減らせばよいのだと思います。

ROEが向上すると株価が上昇することの考え方

昨日から「LIFE SHIFT2-100年時代の行動戦略」を読みはじめました。この本は2年ほど前に職場を退職した同僚の女性の方に当時勧められた本ですが、先日、たまたまアマゾンで目にしたので購入してみました。ご存じの方も多いと思います。まだ前半の途中ですが、気付かされることが多く面白い本です。今週前半頃を目安に読破を予定しています。

昨日の記事でROEが向上すると株価も上がるということについて触れましたが、本日は簡単にその理由について補足したいと思います。ROE=純利益÷株主資本ですが、ROEを向上させるには、シンプルに分子の純利益を増やすか、分母の株主資本を減らすかのいずれかになります。

まず、純利益を増やす場合を考えます。この場合、EPS(1株当たり純利益)が増えることになります。そしてPER=株価÷EPSですので、PERが一定とすると、EPSが増えた分、株価が上昇することになります。

次に分母の株主資本が自社株買いで減少した場合を考えます(自社株が増えると株主資本にはマイナスになります)。自社株買いにより、市場で流通する株式数が減るわけですから、やはりEPSは増えます。となると先ほどと同様にPERが一定とすると株価は上昇することになります。

恐らくこんな考え方なのだと思います。ただ、これはPERが一定とした場合の理論的考え方であって、株価はこれ以外の様々な要因で決まるものなので、必ずしもそう単純に説明がつく話ではないのかも知れませんが、中長期的な観点からのROEと株価の見方ということになります。

PBR1倍以上を目指すことが今後より大事になります

12月22日の日経新聞横浜ゴムのPBRが競合より見劣りする旨の記事が掲載されていました。PBRとは株価純資産倍率ですが、最近、このPBR1倍のことを時々新聞で目にする機会が増えています。PBR1倍未満の企業は解散価値を下回るということです。PBRを考える時には、常に分解して考えることが重要です。

PBR=ROE×PERですね。つまりROEを高めるか、PERを高めることがPBR向上には重要になります。そして、資本市場は投資において企業のROEを重視しているので、基本的にはROEの高い企業は、資本市場も高く評価するということになるためPERも高くなることが多いので、まずはROEを向上させることが肝になるかと思います。もっとも、株価は半年から1年先の企業業績を見るので、当期の純利益は良く、結果、ROEが高くとも、業績の先行きが悪いと判断すればPERは低いことになります。ただ、細かく分けると話がややなるのでROEに絞りたいと思います。

では、ROEが少しでも現状から上がれば株価も上昇するのかというと、必ずしもそうではないようです。某運用会社の分析によれば、ROEが8%未満では、株価との連動性はないが、8%以上になると1%の上昇ごとにPBRが約0.4倍高まるということのようです。つまり、ROE2%の企業が、ROE5%になったところで市場はたいして評価をしないということです。だから、まずは何としてもROE8%以上を達成するということが株価向上のため重要になります。

では、PBR1倍未満だと何か大きな問題あるのかということですが、これが東証の市場再編で今後重要になります。市場再編に関するフォローアップ会議の資料自体はまだ読めていないのですが、新聞報道等によれば、PBR1倍未満の企業はTOPIXの構成銘柄から外すことに経済産業省から前向きな意見が出ているようですね。大型銘柄がTOPIXから外れたら株価に結構インパクトありますよね。大変なことのように思います。それこそ絶好の機会とばかりに、海外のストラテジック・バイヤー、アクティビストがTOPIXから外れた大型銘柄に敵対的買収をしかけるリスクがあります。

ということで、PBR1倍未満の現状について、いよいよ企業は真剣に考えるタイミングになっているように思います。とは言え、株価はその企業の固有の問題だけではなく、業界全体の先行きが明るくないといくら頑張ってもなかなか株価向上は難しいという企業の悩みもあるので、難しいところですね。自社株買いなどやっても株価が上昇するのは一時ですし。

経産省「公正な買収の在り方に関する研究会」(第2回) ー 議事要旨が公表されました

年末まであと少しです。私は来週水曜日が年内最終日ですが、この日は午前中は出社して資料の整理をして、午後は在宅ワークに切り替えます(もっとも最終日の在宅ワークなどほぼ遊びですが)が、今週は色々とやるべき作業があり、少し慌しい1週間となります。話は変わりますが、少し前にアマゾンで注文していた「企業価値向上のための経営指標大全」(著:大津広一)が本日届きました。この本は企業の決算を事例にして、会計上の重要指標が40ほど詳しく解説してあります。著者が以前に書いた書籍を整理したものになりますが、良書と私は思っており、会計指標のおさらいの意味で明日から早速読み進める予定です。

前置きが長くなりましたが、公正な買収の在り方に関する研究会の第2回会議が12月1日に開催されていますが、その時の議事要旨が本日、公表されました。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kosei_baishu/pdf/002_gijiyoshi.pdf

まだ読めていないので、読んだ後に議論のポイントをブログで取り上げる予定です。なお、第3回は12月26日開催です。

損保が政策保有株式の売却を加速 ー 政策保有株式は何故だめなのか?

本日は四季報オンラインデータが新春号に更新されました。本日から週末にかけて、時間を見つけては、各銘柄の四季報データを読み込む予定です。中小型銘柄の場合、IRの情報開示が十分でない企業が多いので、四季報データの最新内容を把握し、決算説明会資料などの開示資料を見た上でIR部門に細かい質問をするとよいかと思います。ただし、保有株数が数百株と少ないと、個人株主の質問に対する企業のレスポンスが非常に遅い場合もあるので(株数が少ないと軽んじられる)、企業に積極的に質問をしてIR部門の迅速な対応を促すには、最低でも1銘柄について数千株の保有は必要になるのかなと思っています。

12月15日の日経新聞に損害保険大手グループがその保有する政策保有株式の削減を進めているという記事がありました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB012GB0R01C22A2000000/

損保大手が政策保有株式の売却を増やすという内容です。機関投資家が政策保有株式について厳しい基準を設けているのが背景と記載されています。

政策保有株式の総額が純資産の一定基準(10%とか20%とか)を超える場合、経営トップの取締役選任議案に機関投資家は反対することになるため、削減を進めているということかと思います。ちなみに、コーポレートガバナンス・コードでは正確な用語は「縮減」と規定されていますが、一般には馴染みの薄い用語でもあるので、新聞では「削減」としています。

政策保有株式の削減は2018年のコーポレートガバナンス・コード改訂(豆知識ですが、「改定」ではなく「改訂」です)の際に盛り込まれ、この2~3年で上場企業の削減が加速しています。つまり、戦後長らく続いていた安定株主という概念が崩れつつあるということですね。

今では、政策保有株式の保有=「悪」という概念が浸透しつつありますが、何故、政策保有株式の保有はまずいのでしょうか?

1つは、少数株主の議決権行使をより実効あるものとするためです。少数株主が投資先企業のガバナンス機能不全を議決権行使で改善しようと反対行使をしても、岩盤のような政策保有株主が賛成し、少数株主の意見が反映されないということです。これが一番の大問題とされています。

もう1つは資本の効率性の問題です。簡単にいうと株主に帰属する株主資本に対して、政策保有株式から得られる収益(=配当等)が少なく、資本効率が悪いということかと思います。株主(特に機関投資家)は自分に出来ない事業運営を経営陣が行い、がっぽりと金儲けをしてくれると思ったのに、株式投資の素人である一般事業会社が政策保有株式などに投資して、結果、たいして金儲けもしてくれないのが不満ということです。株式投資をするのであれば、投資のプロである「自分たち(=機関投資家)で出来るわ」ということです。

ブログでも政策保有株式の削減については、何度も触れているので、もし、気になる方は「政策保有株式」の用語でブログを検索して頂ければと思いますが、後日、あらためて過去の記事など整理して紹介出来ればと思います。上場企業は、来年の定時株主総会に備えて、自社に投資している機関投資家の議決権行使基準における政策保有株式の基準を把握することをお薦めします。

買収防衛策の導入理由 ー 金融商品取引法の課題の記載

本日は在宅ワークの日でしたので、通常の業務以外のインプットにも大幅に時間を割く予定でしたが、昨日の業務が全く終わらず、業務のアウトプット作業に終日かかってしまいました。

本日、のむら産業という会社(7131 / 東証スタンダード)が買収防衛策の導入を公表しました。はじめて聞いた銘柄でしたので、四季報オンラインで見たところ、米穀精米袋と米穀計量包装機械で国内首位で、株式時価総額がわずかに14億円(12月14日時点)の小型銘柄のようです。プレスリリースの内容は次のとおりです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7131/tdnet/2215137/00.pdf

この会社自体には興味はないのですが(はじめて知った銘柄のため)、プレスリリースを見て気付いたのは、買収防衛策の継続理由です。現在の法制の不備が少し詳しく書かれています。プレスリリースの該当箇所を抜粋すると次のとおりです(黄色ハイライトの箇所は私が強調のため付記)。

我が国の資本市場において、対象となる会社の経営陣との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、株主への十分な情報の開示もなされない段階で、突如として大規模買付行為を強行するといった動きが現実にみられます。また、大規模買付行為の中には、その目的等から判断して、企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうおそれのあるものや、大規模買付行為に応じることを株主の皆様に強要するおそれのあるものが含まれる可能性もあります。この点に関し、現行の金融商品取引法の下では、市場内での大規模買付行為は規制対象とならないことから、市場内での濫用的な大規模買付行為に対応することができません。加えて、公開買付制度が適用される大規模買付行為に関しても、金融商品取引法で認められている買付者に対する質問については意見表明報告書における 1 回に限定されることに加え、当該質問への対応についても、買付者は対質問回答報告書を提出して回答する義務があるものの、十分な回答を行うとは限らない上、理由を付して回答を行わないこともできます。このように、公開買付制度が適用される大規模買付行為であっても、株主の皆様に対して十分な情報開示がなされず、又は公開買付けに応じるか否かを検討する時間を十分に確保することができないままに、その賛否の対応を迫られる場合があることが否定できないという制約があります。

金商法上の課題を買収防衛策の導入理由で触れる企業は数年前から増えていますが、それよりも少しだけ突っ込んだ表現かと思います。参考になると思います。海外企業の濫用的買収者の出現リスクについて触れるのであれば、日本の外資規制の課題(=実効性が乏しいということ)をプレスリリースに記載するのも一案ですね。

経産省の「公正な買収の在り方に関する研究会」の議論はまだ始まったばかりですので、事前警告型の買収防衛策については、来年の株主総会時点では機関投資家は反対のスタンスが続くかと思います。

けど機関投資家保有比率が高くない企業であれば、事前警告型の買収防衛策の導入のハードルは低いと思いますので、少しでも導入の必要があるなと考える企業は導入をすることをお薦めします。

ESGの取組みがPBRにプラスに貢献するらしい。でも何故?

本日は資料作りで慌しい一日でしたが、明日は在宅勤務となります。明日も本日の続きのアウトプット作業の継続ですが、さっさと終わらせ、余った時間は副業に向けての情報・知識整理、新聞・雑誌、業務関連書籍の精読に時間を費やす予定です。あと、株式投資関連で企業各社の決算分析もです。

さて、12月11日の日経新聞に次の記事が掲載されていました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66733970R11C22A2EA1000/

ESGの取組みが財務や株価に与える影響を開示する企業が増えてきたということのようです。この記事によれば、ある会社は約270のESG指標と数年後のPBRとの連動を調べたところ、多くの項目が企業価値と関係することがわかったとあります。「例えば、CO2排出量が1%減少すると8年後のPBRが1%上昇するという関係があった」と書かれています。また、ある会社は従業員の年間平均研修時間を増やすとPBRにプラス影響があるということのようです。

しかし、この記事だけを読むと「本当かい?」と思ってしまうのは私だけでしょうか。PBRの向上は必ずしも研修時間だけが影響しているわけでもない気がしてならないのですが・・。

さて、今回の記事に関してではありませんが、最近の新聞報道などを見ると、ESGがさも株価上昇と直接の因果関係があるような書きぶりの記事を時々見たりましますが、個人的には、ESGの取組みと株価には直接の連動性はないと思っています。間接的な連動はあるのだと思います。例えば、環境に取り組むことが環境重視の顧客の獲得に繋がり、企業収益にプラスとなり、ひいては株価が向上するという流れです。

昔、CSRおじさん・おばさんという言葉が時々言われました。自身が民間企業という営利団体のサラリーマンであることを忘れ、環境や社会団体の社員であるかのように社会貢献に熱心なCSR担当部署の方のことを指します。最近のESGの報道を見ると、同じような現象が起きるのではないかと心配になります。

ESGが財務数値にどうプラスに働くのかを論理的に理解しないと、新聞記事や報道の文字に踊らされ、「環境や社会活動に取り組むこと=企業の財務・株価にプラスになる」と勘違いをして、E・S・Gの細目にばかり夢中になってしまうことになりかねません。男女の賃金格差を開示せねばとか、女性管理職比率を開示せねばとかです。

勿論、ESGの取組みを否定しているわけではありませんが、問題はESGの考え方です。中長期(3年から5年以上の期間)で企業に株式投資をする上では、企業の短期業績はあまり役に立たないので、中長期の企業業績の判断材料の1つとしてあるのがESGです。ESGは非財務情報の1つに過ぎないのです。そこをしっかりと理解しないと、昔でいうCSRおじさん・おばさんが増えることになってしまいます。

ESGに取り組むことが企業業績や株価にどう貢献するのかを、新聞報道に踊らされることなく、ESGを担当する部門の方は一度良く考えることが大事かなと思います。

万年PBR1倍未満の企業は株価を強く意識する必要あり ー 『物言う』一般の機関投資家が今後は増えると思います

投資ファンドのオアシス・マネジメントとフジテックとの攻防は報道のとおりですが、なかなかですね。公表されているオアシスの提案資料などはボリュームもあり、凄いなの一言です。プロの投資ファンドであるアクティビストと対峙することは大変なことだなとつくづく感じます。

日本の株式市場は「アクティビスト天国」と言われたりしていますが、来年6月の定時株主総会に向けて、日本の上場企業とアクティビストとの水面下での攻防は多くなっているのだと想像します。

12月6日の日経新聞の夕刊に興味深い記事がありました。みさき投資の社長の投稿記事になりますが、次のとおりです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB022PZ0S2A201C2000000/

PBR1倍を割ると、アクティビスト浸透度がかなり高まると書かれています。日本企業の場合、PBR1倍を下回る企業は相当数に上ります。PBR1倍未満はアクティビストのみならず、一般の機関投資家も問題視するところですが、私は一般の機関投資家の動きに今後はより注意を払う必要があると考えます。

機関投資家の議決権行使を見ていて、この1~2年で大きく変化したなと感じるのは、株主提案に対して賛成する一般の機関投資家が確実に増えていることです。5年前には、株主提案に賛同する機関投資家は極めて少なかった印象ですが、この1~2年で大きく増加したと感じます。

そして、株主提案に賛同するだけならまだましですが、近い将来は一般の機関投資家自らが株主提案をする時代が来ると私は思います。先日、ある外部の専門家の方と話をしたときに、本年の株主総会ではある機関投資家がそういう方向で動くことも検討したという話をその方から聞きました。その方も別の方から聞いた話のようですので、どこまで本気でその機関投資家が株主提案の動きをしようとしたのかの温度感は分かりませんが、こういう話が出ること自体、「『物言う』一般の機関投資家」の出現はまじかであると感じます。機関投資家としては、株価の値上がりを期待して、投資をしているわけですから、株価が低迷している投資先企業に株価向上につながる株主提案をすることは、理論的には至極当然と言えます。アセットオーナーもそれを期待しているのかも知れません。

こういった資本市場の大きな変化をどれだけの上場企業の経営トップの方が理解しているでしょうか? 特に、株式時価総額が数十億から数百億円規模の中小型銘柄で、機関投資家の株式保有比率が低い企業は、PBR1倍未満を何ら課題に感じていないところも結構多いのではないでしょうか。過去5年にわたりPBR1倍未満が常態化している企業も結構あったりしますので。

こういう企業は、アクティビストが出現すると、社内は大混乱します。対応が分からないので、外部のコンサル会社や弁護士、PR会社などを起用して、多額のアドバイザーフィーがかかるなんてことになりかねません。

万年PBR1倍未満の企業は、株価を強く意識することが必要です。そうしないと、株価低迷の中、アクティビストが出現し、経営陣はアクティビスト対応に相当な労力とお金をかけることになり、企業価値が毀損し、ひいては自社の社員を危機にさらすことになります。用意周到、準備万端の心がけが大事です。

ブログのタイトルを変更いたしました

ロシアの文豪ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を昨日から読みはじめましたが、やはり内容が難しく、寝ながら読むと、私の場合、そのまま眠りに落ちてしまうようで、じっくりと腰をそえて読まないといけないことに昨夜気づきました。読破できるか怪しい状況になってきました・・。

本日は、投資先企業のIR情報の整理をしています。12月16日に四季報新春号が発売されますが、四季報の内容も見た上でIR部門に年内にいくつか質問をする予定で質問事項の準備作業などをしています。ちなみに、ある銘柄(スタンダード上場企業)のIR部門には、情報開示の改善を複数回提案してきましたが、この1年でかなりIR開示に積極的な姿勢に変化しました。個人投資家の意見を尊重してくれるこういう企業にはへの投資は継続したいなと思っています。

さて、ブログのタイトルの変更をする予定である旨を前にある記事を書いた際に少し触れましたが、本日、ブログのタイトルを変更しました。

これまでは、「コーポレートガバナンス株式投資企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース」でしたが、来年からは、コーポレートガバナンスを切り口とした上場企業の中長期での企業価値向上の分析・情報発信により力を入れて行きたいと考え、タイトルを変更しました。

あわせて個人投資家機関投資家と同レベルまでコーポレートガバナンス力を向上して、必要に応じて投資先企業に意義のある提案(=投資先企業の企業価値向上のための合理的な提案)が出来るよう、役立つ情報提供も出来ればと思っています。引き続き、今後もブログの記事をご覧頂ければ幸いです。

なお、記事等に関しまして、何かあればお気軽にブログの「お問合わせ先」からご連絡をいただければと思います(はてなブログの場合、コメント機能からコメントを頂いても、コメントに返信するのがシステム上難しいようです)。

来年の株主総会に向けて(3) ー 議決権行使助言会社の基準で留意すべき点は?

昨日、ロシアの文豪のドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を購入しました。大学時代にも読みかけたことがあるのですが、最初の数ページを読んで、あまりの読みにくさで挫折したことがあるのですが、先日、週刊東洋経済で歴史を知る上での名著との紹介があり、20数年ぶりに再チャレンジです。

さて、本題ですが、前回の続きになります。海外機関投資家の多くが株主総会の議決権行使に際して参考にするのは、議決権行使助言会社の賛否推奨基準ですが、助言会社のガリバーであるISSの行使基準で来年留意すべき事項は何でしょうか?

2023年の改訂案が公表されていおり、2023年は環境関連での改訂事項があるようですが、これは多くの日本企業には関係がないので、たいした内容ではありません。企業が留意すべき点は、ROE5%基準の復活の是非になります。

ISSは過去平均のROEが5%を下回る企業の経営トップの取締役選任議案に反対推奨をしていますが、この基準がコロナ禍の時期から適用停止になっていますが、これが2023年から復活するか否かが企業が注意すべき事項になります。関心の高い上場企業は多いと思います。

とは言え、2023年のISSの改訂案ではこの基準の適用停止の復活については触れていませんので、2023年も適用停止が継続する可能性は大といえるのかも知れません。けど、一方、コロナ禍による企業業績へのマイナス影響も昨年あたりからなくなってきており、また、国内機関投資家の多くが2022年はROE基準で投資先銘柄の経営トップに賛否判断をしていることに鑑みますと、何故、ISSがこのROE基準を復活させないのかという疑問が残ります。ひょっとしてROE以外の基準の選択を将来、検討しているのかなとも思ったりしてしまいます。または、2023年改訂から復活ということもあるのかも知れません。

いずれにせよ、2023年のISSの議決権行使推奨基準でROE5%基準がどうなるかについては、2022年度を含めて過去5期の平均ROEが5%を下回る企業は十分に注意を払うべき事項と思います。もし、2023年から適用が復活するとなると、①2022年度を含めて過去5期のROEが5%を下回る企業で、②外国人株主比率が高い企業は、経営トップへの反対票がかなり増加するリスクがあると言えます。

来年の株主総会に向けて(2) ー 海外機関投資家はどのように議決権行使するのか?

昨日は東京は寒い一日でした。毎年、12月に入るとどのタイミングで厚手のコートを着るべきか迷います。通勤電車の中は混雑して暑いので、実際のところはそれほど寒く感じる時間も少ないので(私の場合、電車に乗る時間は乗り継ぎ1回で合計15分)、今年も12月下旬頃かなと思っています。どうでもよいことですが、毎年のこの時期の小さな悩み事です。

さて、前回、経営トップの取締役選任議案について国内機関投資家の議決権行使基準の改定の動向を簡単に紹介しました。今回は、前回の続きということで海外機関投資家の議決権行使基準についてお話をしたいと思います。

外国人株主比率の高い企業では、海外機関投資家の議決権行使の動向は非常に気になるところかと思います(外国人株主=海外機関投資家と考えてOKです)。日本の機関投資家は、ホームページに議決権行使基準を開示していますが、海外の機関投資家は、英語ということもあり、そもそもホームページを見たこともないという方がほとんどではないでしょうか。

では、海外機関投資家は、日本の国内機関投資家のように独自の議決権行使基準を策定して、それに照らして投資先の日本企業に議決権行使をするのでしょうか?

なかにはそういう機関投資家もありますが議決権行使助言会社の行使基準に即した議決権行使をする機関投資家がかなり多いです(全ての海外投資家を調べたわけではないです)。つまり、議決権行使助言会社であるISSやグラスルイスの基準に即した判断をするのです。「何で?」と思う方もいるかと思います。私も実務をはじめたばかりの頃はそういう疑問がありました。機関投資家はプロなので、自分たちでしっかりとした方針を策定し、それに即した議決権行使をすべきではないか?という疑問です。

海外の機関投資家も本来、投資先企業を1つ1つ分析して議決権行使をするのがアセットマネジャーとしての役目かと思います。けど、日本の法制や詳細実務は海外の方には分かりにくいという事情があります。米国の機関投資家であれば米国企業のことは良く分かりますが、海をまたいだ日本の法制や実務を詳しく知っているかというと難しいところかと思います。仕方ないかと思います。日本の投資家が米国や欧州の国の法制やコーポレートガバナンス実務に詳しくないのと同じですね。そこで、議決権行使助言会社の議決権行使の賛否推奨基準(あくでまで賛否の推奨です)を採用するのです。

賛否推奨基準は日本版です。つまり、日本企業に限定しての基準です。日本企業を取り巻く社会経済環境やコーポレートガバナンスの浸透状況などを見て、毎年、議決権行使助言会社であるISSなどは基準をアップデートしているわけです。ので、日本企業に投資をする海外機関投資家としては「これを利用しない手はない」ということになります。

では、来年の株主総会に向けて上場企業が留意すべきは、ISS(グラスルイスは無視します)の議決権賛否推奨基準のどの点になるかですが、この点は次回、お話をしたいと思います。

来年の株主総会に向けて(1) ー 2023年の機関投資家の議決権行使基準の改定の方向は?

今年もあと数週間で終わり、年明けからは6月の定時株主総会の準備に入る上場企業も多いかと思います。今回から来年の定時株主総会に向けてポイントになりそうな事項について、アクティビスト(物言う株主)や機関投資家の議決権行使の観点などを中心に時々ブログで記事を書きたいと思います。

本日は第1回目ですが、取締役選任議案に関する機関投資家の議決権行使基準について取り上げたいと思います。

機関投資家が経営トップの選任議案に反対するのは、企業の業績が低迷する場合です。そして、2022年の業績の判断基準はROEとしている機関投資家が多く、ROE5%が1つの目安になります。単年度ではなく、過去数期にわたりROE5%未満が継続すると反対というわけです。ROEの絶対値で判断するタイプの機関投資家と言えます。

もう1つのタイプはROE5%基準に加えて、業種内で低位にあることを反対の判断要素にする機関投資家です。結構多いです。機関投資家の個社名はスペースの関係上、省略しますが、いくつか例としてあげると次のような内容です(なお、議決権行使基準は各機関投資家のホームページに公表されています)。

  • 直近3期連続ROE5%未満+業界(東証33業種)の33%ile未満
  • 3期連続で東証一部上場企業ROEの下位1/3分位未満(除く:過去3期ROEの平均値が5%以上の場合)
  • 3期連続でROEがTOPIX構成銘柄全体の上位75%タイル水準以上を満たさない
  • ROEが過去3期連続で業種内下位25%
  • 3年連続ROEが5%未満+業種別でROEが3年連続下位25%以下

機関投資家の2023年の議決権行使基準はどうなるでしょうか?

現時点で既に改定したところも数社ありますが、多くは来年の2月以降の改定になるように思います。従い、現時点では各社とも社内検討中の段階かと思いますが、基本的には2023年もROE5%がベースになるのではと想像します。恐らく8%に上げる機関投資家はいないのではないでしょうか。

しかし、5%の数値は変えないにせよ、業種内での基準を上げる可能性はあるかも知れません。例えば「業種内下位25%」にある場合に反対という箇所の数値基準を上げる可能性は高いように考えます。

機関投資家は本心としては、ROE=最低8%が必要と考えているところかと思いますが、現時点で経営トップの反対基準を一気に8%まで引き上げると反対せざるを得ない企業があまりに多くなるため、そこまでハードルは上げないが、代わりに業種内の位置の基準を引き上げるということは十分に考えられます。上場企業各社は2022年度の自社の予想ROEが業種内でどの程度の位置にあるのか把握しておく必要があるかと思います。以上が国内機関投資家のポイントになります。海外機関投資家の議決権行使基準については、次回説明をしたいと思います。