中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ニチイ学館がTOB価格引き上げを公表 ー 1株当たり170円の価格アップ!

ニチイ学館はMBOにむけ、米国の投資ファンドの子会社がニチイ学館TOBをしている最中ですが、7月31日にニチイ学館TOB価格を1株当たり1,500円から1,670円に引き上げるとともに、TOB終了期間を8月3日から8月17日まで延長することを公表しました。

アクティビストである香港の投資ファンドニチイ学館TOB価格がコロナで低迷した市場株価を基準にしており、価格が低いというようなことを主張していました。コロナ前には1,600円~1,700円程度の市場株価であったところ、1,500円でTOBとは、株主からしてみれば「ふざけるなよ」と言いたくなるようなニチイ学館にとってあまりに都合の良い話です。要するにTOB価格が低すぎて思ったほど応募がなかったので、ニチイ学館サイドは価格をあげたというのが今回の内容です。

TOB価格のプレミアムについては、30~40%がこれまでの実例ですが、以前にブログでも掲載しましたが、伊藤忠商事のファミマへのTOBに対する2020年7月8日のファミマの意見表明のプレスリリースに次の記述があります。

 「2010年以降に発表された非公開化を目的とした買付規模が500億円以上の他の公開買付けの事例におけるプレミアムの水準(平均値は、公表日の前営業日比36.9%、直近1ヶ月間の終値単純平均比39.2%、直近3ヶ月間の終値単純平均比39.0%、直近6ヶ月間の終値単純平均比36.8%)と比較し十分なプレミアムが付されているとは認められない等、当社の一般株主の皆様に本公開買付けへの応募を積極的に推奨することができる水準には達していないとの結論に達したため、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場をとった上で、最終的に株主の皆様の判断に委ねるのが相当であると判断した旨回答いたしました。」

ご参考にしていただければと思います。