中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ぺんてるが公開買付価格を変更(3,700円→4,200円)-ぺんてるの株主が保有継続するインセンティブはどこにある?

ぺんてるが公開買付価格について2度目の変更をしました。前回の3,700円から500円アップとなります。

11月30日の日経新聞でも記事が掲載されていました。ぺんてるの株主で売却の判断に迷う方に売却を促す目的での買付価格のアップですね。ぺんてるの株主は約340名ほどいるらしく、取引先、OBなどが株主にいるようです。

ところでぺんてるの財務状況はどうなっているのでしょうか。同社は上場会社ではないので、決算短信有価証券報告書を開示する義務はなく、ホームページを見ても任意で数値は開示していません。インテ―ネットで探したところ、ぺんてるの決算公告を見つけました。

2019年3月期決算(71期)は次のとおりです。

  • 売上高     23,506百万円
  • 販売費一般管理費 7,174百万円
  • 営業利益        72百万円
  • 当期純利益      385百万円
  • 純資産     12,386百万円
  • 総資産     33,547百万円

営業利益率は0.3%、ROEは3.1%です。ぺんてるは非上場会社ですので、そもそもROEなどを気にする必要はないでしょうが、ぺんてるの株主は資本市場と比較して自社の株式指標を知る必要は一応あると思います。

営業利益率、ROEともに上場会社の平均に比べてかなり低いです。オーナー一族は株式を保有するインセンティブが働くのは分かりますが、オーナー以外のOBの元役員・社員であればこんな流動性の低い会社の株式を有する意義はないように思えます。

OBは判断に迷っていると新聞で書かれていますが、経済合理性を考えて売却の判断に迷う理由は何でしょうか。非上場会社は、資本市場の論理とは縁がないので、株主の保護など何でも自由に決められますので、株主優待でものすごく魅力的な利益を株主はキ享受しているのであれば話は別ですが、そうでないのであれば、流動性ゼロの株式など売った方が得だろうなと思ってしまいます。公開買付期限は残り12月10日ということです。

ところでコクヨは買収防衛策を保有しており、来年が更新期限です。他社を敵対的買収しようとしていながら、自社の敵対的買収は防衛するスキームなのですね。とてもユニークですね。

買収防衛策の批判は最近特に強いですが、コクヨの買収防衛策を後日ざっと読んで気づいたところあれば、ブログで紹介してみたいと思います。