コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

コクヨがぺんてるの敵対的買収の検討を公表

11月16日の日経新聞で大きく報道されていましたが、文具メーカーのコクヨが筆記具メーカーのぺんてる敵対的買収することを発表しました。

11月15日にコクヨがプレスリリースしており、それによると、1株3,500円で11月15日から12月15日までの期間で公開買付(TOB)を行うようです。

コクヨぺんてるに出資していますが、ぺんてるが他の会社との協業を模索するような情報を得て、TOBにより子会社化する方針を決めたと新聞では書かれていました。

過半数超の株式を取得して、いうことの聞かないぺんてるの経営陣をクビにしてコクヨが事業運営を支配するということであるかと想像します。

ぺんてるは、未上場会社ですが、数百名の株主がいるようですね。TOB価格はDCF法により算定したとあります。未上場株式ですので、市場株価がないので、DCF法を使用しています。但し、プレスによると大和総研が算定しているとありますが、大和総研投資銀行でなくただのシンクタンク会社ですが、「ファイナンスの専門でない会社がDCF算定するの?」という驚きがあります。

また、私が記事を読んで疑問に思ったのは、「株式譲渡についてぺんてるの取締役会の譲渡承認が必要であるのにTOBをしても意味がないのでは?」という点です。この点はコクヨのプレスリリースに関連する記述があります。

コクヨのプレスから一部抜粋します。

ぺんてる株主の皆様から当社にお送りいただいた申込書類の先着順で受け付けを行い、順次速やかに株式売買契約書の締結及び買取実行・代金のお支払いを致します。これは、ぺんてる株主の皆様が、これまでにぺんてる企業価値に比べて不当に低い株主価値しか与えられてこなかったという経緯に鑑み、また、本買付けにおいてもぺんてる株式の譲渡をぺんてるに対抗するためにはぺんてるの取締役会による株式譲渡及び名義書換の承認決議が必要となるところ、ぺんてる経営陣の企図によっては、これらの承認決議が得られない可能性もあることを踏まえた措置です。」

会社法上は、定款による株式の譲渡制限があっても当事者間での株式譲渡の効力は有効ですが、株式の譲受人は取締役会の承認がない以上、株主としての地位を会社に対抗できません。つまり、株主としての権利(自益権と共益権)を主張できないのです。

日経新聞の記事によれば、株式買い取りの際にぺんてる株主総会の議決権をコクヨに委任することもコクヨはセットにするということです。

50%以上の株式を取得して、同時に委任を受けた株主総会の議決権を行使して、役員選解任の議案で臨時株主総会の開催を請求して(少数株主権ですね)、ぺんてるの役員をクビにして、コクヨの派遣する取締役で取締役会を構成て、株式の譲渡を承認するという意向であるのかも知れません(私の勝手な推測です)。

とても面白そうな事案ですので、今後も注視していきたいと思います。