中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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経産省が「M&Aの在り方に関する研究会」を設置

経済産業省が、11月7日にM&Aの在り方に関する研究会の設置を公表しました。

経産省は平成19年9月に、「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(MOB指針)を公表していますが、今回、この指針の見直しの要否を含め、公正なM&Aの在り方について検討するようです。

経産省のホームページに、次のような記載がされています。

「MOB指針の策定から既に10年が経過しており、その間、実務、裁判例や議論の蓄積が見られます。また、社外取締役の選任の増加をはじめとするコーポレートガバナンス改革の進展や株式保有構造の変化等、上場企業を取り巻く社会経済状況にも変化が生じており、こうした状況を踏まえて、MBO指針の見直しについて検討する時期に来ているとの指摘があります。また、MBO指針は、利益相反構造のあるM&Aのうち、MBOを中心に提言を行ったものであるところ、親会社が上場子会社を完全子会社化する場合をはじめとする支配株主による従属会社の買収等、MBO以外の利益相反構造のあるM&Aについても論点整理を行うべきとの指摘もあります。以上を踏まえて、MBO指針の見直しの要否を含めて、我が国の公正なM&Aの在り方について検討を行うため、今般、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」を設置することとしました。」

平成19年公表の指針は、名称だけは知っていましたが、内容は読んだことはありませんでした。

MBOと言えば上場廃止の1つの手段でもあります。MBOの課題としては、マネジメントが自社を買収する上で、適正価格を下回る買収価格を設定した場合、対象会社の役員と買収する会社の役員ということで利益相反が起こり、結局は、対象会社の株主が損害を被るのではないかという点です。

この研究会は、11月9日(金)に第1回会議が開催され、今後、毎月1回程度開催し、来年春を目途に議論の取り纏めを行う予定のようです。

この研究会もどこまで資料や議議事録が公表されるものかは分かりませんが、MOB指針を読むとともに、情報をウォッチして行きたいと思います。