コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

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香港の投資ファンドによるアルパイン投資家説明会の開催

アルプス電気アルパインの統合を巡って、アルパインの株主である香港の投資ファンドであるオアシスマネジメント(9.9%保有)がアルパインと争っている点は報道のとおりですが、アルパインは、アルプス電気との経営統合に係る議案が12月下旬の経営統合に係る臨時株主総会で承認可決されることを条件に、1株当たり100円の特別配当を実施することを9月27日に公表しました。

アルパインの本年の定時株主総会の剰余金配当議案で会社提案の1株15円に対して、オアシスが1株当たり325円の増配の株主提案をしたものの、他の株主の賛同を得られず株主提案が否決されたことは記憶に新しいですが、今回は、特別配当を決定したようです。

一方、9月28日にオアシスは、アルパインアルプス電気との経営統合に係る臨時株主総会に向けて、アルパインの現在の価値、将来見通しを議論するためアルパインの株主、従業員、アナリスト、その他ステークホルダー向けにアルパイン投資家説明会を11月7日にシャングリア・ホテル東京で開催する予定を公表しています。

オアシスのホームページでの投資家説明会の案内にオアシスの最高投資責任者の意見として「アルパインの株主とステークホルダーが集まって、アルパインの将来について議論できる投資家会を開催できることを喜ばしく思います。他の講演者も交え、私たちはアルパインについてのリサーチや見解を共有するつもりです。11月7日はアルパインのすべての株主にとって生産的な一日になると確信しています」と書かれています。

オアシスの目的は、オアシスの提案に対する賛同を求めることにあります。

ここで注目すべきはアナリストまで参加者に入れているということかと思います。

従業員やOB従業員などファイナンスコーポレートガバナンスコードについての素人の方は、オアシスの提案自体がどこまで理解できるか不明ですし、そもそもファイナン
ス云々よりアルパインを応援したいという意識が働くように推定します。

しかし、アナリストは純粋にファイナンスの視点から、オアシスの提案の妥当性を判断するのであり、それを踏まえてアルパインの株式を保有する機関投資家は賛否を判断することになります。

スチュワードシップ・コードの下、機関投資家であるアセットマネジャーはアセットオーナーの利益に資する議決権行使判断をしなければなりません。本年の上場企業の株主総会では株主提案に賛成票を投じた機関投資家もだいぶ増えて来ています。

とすると、オアシスのこの投資家説明会の結果、オアシスの提案に賛同する機関投資家が多いような場合には、アルパインはさらに特別配当をプラスするなど自社の味方となる株主を確保するための方策が必要になってくるのかも知れません。勿論、私の勝手な想像ですが。

いずれにせよ一般個人投資家にとっては、アルパインの特別配当によりキャッシュを手に出来るので、嬉しい話かとは思います。

アクティビストである投資ファンドが買った銘柄を買うことは、今後の増配が期待できる所謂「コバンザメ投資」といえるかと思います。個人投資家はアクティビスト等の投資ファンド大量保有報告書の提出状況をウォッチして、投資ファンドの投資後に株式を取得するということは1つ有用かも知れません。

大量保有報告を毎日ウォッチすることは難しいですが、一定規模の上場企業は、大量保有報告が提出された場合、その内容の知らせを受けるサービス契約を株主判明調査会社などと契約を結んでいることが多いかと思います。

上場企業のIR部門など投資家や株主対応の部門にいる方は、このサービス契約に基づき、大量保有報告書が提出された場合、大量保有報告の内容のお知らせメールを自動的に受信できるかと思いますので(私もそうですが)、こういう情報を見て個人的に投資することもありかと思います。

ちなみに大量報告書は開示情報ですので、これを見て株式を取得することは、全くインサイダー情報ではありませんので念のため。