中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

技術研究組合の活用

8月6日の日本経済新聞に技術研究組合の記事がありました。複数の企業・大学が技術研究組合を活用して、共同で産業技術の試験研究を実施する動きが広がっているとのことです。

経済産業省のホームページで次のように技術研究組合の紹介がされております。

技術研究組合は、複数の企業や大学・独法等が共同して試験研究を行うために、技術研究組合法に基づいて、大臣認可により設立される法人で特徴は次のとおり。
<組合>
①法人格を有する大臣認可法人
②組合が賦課金で取得した設備は税制上の圧縮記帳可能(適用期限H33年3月末)
③組合から株式会社等へのスムーズな移行が可能
<組合員>
支払う賦課金について、①試験研究費として費用処理②法人税額から20%の税額控除が可能

また、上記以外に中小企業にとって有利なのは、事業上の意思決定に際して1組織1票が原則とされる点です。

通常の株式会社であれば、出資金額により議決権割合が決まりますので、どうしても高い技術力は有するが、資金力の乏しい中小企業にとっては、経営への影響力が小さくなります。つまり、大企業Aが800万円を投資し、中小企業Bが200万円を出資となりますと、経営に対する支配力はAが80%、Bが20%となります。資本の論理に従い、持つ影響力も決まるということです。

しかし、技術研究組合では、1組織1票ですので、資金力の乏しい中小企業にも有利ということになります。まだ、利用はそれほど多くないようですが、今後、より使いやすい制度とすべく、国立大学が技術研究組合が設立した株式会社の株を持てるようにするなどの環境整備が必要になるということのようです。