中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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海外・日本の投資規制について②

前回米国の海外からの投資規制について説明しましたが、今回は、EUと日本の海外からの投資規制についてポイントのみ説明します。

EUですが、ドイツ、フランス等の各国で外資規制はあり、最近改正がされています。しかし、新聞報道にもあるとおり、現在は、さらに欧州統一の審査規制を制定する方向での議論が進んでいるようです。つまり、各国ごとに異なっている現在の基準を統一するということです。

次に日本の投資規制についてみると、外為法があり、海外投資家が一定の業種の日本企業の株式を10%以上取得する場合には、事前に財務大臣及び事業所管大臣に届出を行い、取得可否の審査を受けることが義務付けられています。

この外為法の投資規制は昨年10月に改正され、届出なく株式を取得した場合には売却命令等を行うことができることになりました。しかし、売却命令を無視した場合には、当該売却自体を取消すまでは出来ません。

米国の場合には、事前審査を得ないでなされた投資については、取引のクロージング後でも中止させる効力があるのですが、この米国の規制と比べて日本の規制は弱いことが指摘されています。

米国・EUでの投資規制強化の背景には、中国投資家対応があります。

では、その中国の様子はどうなっているかといいますと、中国政府は2015年5月に産業政策「中国製造2025」を公表しています。これは、次世代情報技術やロボット等の10の重点分野を設定し、製造業の高度化を目指す野心的な計画といわれています。

中国製造2025は長期戦略の第1段階といわれており、次のような3つの段階があります(日経新聞 2018年7月2日)。

第1段階(2015年~2025年)世界の製造強国の仲間入り(中国製造2025))
第2段階(2025年~2035年)世界の製造強国の中等水準へ上昇
第3段階(2035年2049年)世界の製造強国の先頭グループへ躍進

このように中国政府の方針の下、中国企業は今後製造業を強化していく方向にありますが、この脅威もあり、米国・欧州の投資規制は強化されています。

とすると、中国企業は、投資先としては規制の緩い日本企業に向かうような気がどうしてもいたします。