先日の日経新聞で配当性向の記事がありました。日本企業の配当性向は30%台が多く、欧米企業に比べて見劣り、株価を抑える要因になっているということです。
ちなみに、財務改会計の初歩的な用語ですが、配当性向とは、配当支払額÷当期純利益(%)で示されます。記事によると各国の配当性向は、次のとおりです。
日本企業 30%(大手企業中心の500種平均株価の構成銘柄31.1%)
米主要500社 47%
アジア主要企業 36%
日本企業の配当性向は少ないことは以前より言われております。何故30%なのか疑問
ですが、これまでも1つの目安として30%を基準としている企業も非常に多いと思います。個人的な投資先企業のスクリーニングをしていても、配当性向30%で設定している企業が多く見られます。
ここで、個人投資家が理解すべき重要なことは、配当性向30%は何の基準にもならないということです。
前にもブログで書きましたが、配当は、バランスシートの純資産に中にある「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」が原資になり、これとバランスシートの左側の現金及び預金の金額を見ることになります。
配当性向とはその他利益剰余金の中の項目である繰越利益剰余金に積み立てることができる当期の純利益のうち、どの程度が配当支払に当てられているかを示す指標であり、30%を基準にする意味など全くないといってよいと思います。つまり、配当原資とこの原資に見合った現金が潤沢にあれば、配当性向が100%を超えるべきことも当然のことなのです。
個人投資家の方は、自分の投資先企業の財務諸表を見て、配当性向ではなく、バランスシートで配当原資と現金及び預金の数値を見ることをお勧めします。
そうすれば、配当性向30%とあっても、何ら満足すべき数値ではなく、「この企業は株主還元余力がもっとあるではないか」ということも良く理解できます。