コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

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HOYAが手元資金の上限を引き下げ

6月21日の日本経済新聞で、HOYAが手元資金の保有上限を引き下げるとの記事がありました。

従来は、現金及び現金同等物の上限目途が3,000億円程度であったところ、今後は2,000億円程度と約1,000億円程度引き下げるということです。

HOYAの2018年3月期の連結キャッシュフロー計算書における現金及び現金同等物は2,458億円となっています。一方、連結売上高は、5,412億円です。キャッシュの余力を見る指標としては、手元流動性比率があります。

これはキャッシュ÷月商で算出され、月商の何倍程度のキャッシュがあるかを判断する指標です。HOYAの手元流動性比率は、2018年3月末時点では、次のとおりになります。

手元流動性比率 = 2,458億円÷(5,412億円÷12)= 約 5.4倍

つまり、月商の約5倍のキャッシュがあることになります。

これが多いか少ないかですが、企業の設備投資・M&A投資の計画状況や業種にもよりますが、一般的に考えると5倍は多いと思います。

なお、HOYAの有利子負債を考慮していないので、有利子負債を考慮したネットキャッシュベースではもう少し下がるのかも知れません。

ちなみに、JALは2018年3月期の決算説明会資料において、手元流動性比率として連結売上高の約2.6ヵ月とすると公表しております。

政策保有株式の縮減が今後求められる中、投資有価証券も現金と見なされる傾向にあります。とすると、バランスシート上の現金及び預金がそれほど多くなくとも、投資有価証券もキャッシュとしてカウントした場合、ネツトキャッシュベースでの手元流動性比率が高い企業は、キャッシュの使途について投資家に明確に説明する必要が出てくるかと思います。

M&Aのための投資資金である」ということであれば、どの分野のM&Aでどういう体制で、いつの時期を目安に行うものかといった説明を今後は投資家から求められるのかも知れません。