コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

役職定年を迎えた一般従業員は「野に出よ」

先日の日本経済新聞で「相談役・顧問は『野に出よ』」との記事がありました。

読者の関心を引く面白いタイトルであると関心しました。相談役・顧問制度自体は、弊害ではなく有用な場合もあるのですが、東芝のケースから弊害の制度という方向にどうも流れが向かっており、その中での記事になります。特に海外機関投資家からは相談役・顧問は理解しがたい制度のようです。

社外取締役の員数増加、役割強化の動きの中、企業が元取締役経験者を社内で抱え込むのではなく、社外に出て他社の社外取締役に就任することが日本経済のコーポレートガバナンス改革に有用との趣旨の新聞記事でした。

しかし、よく考えると、私は、相談役・顧問は「野に出よ」ではなく、役職定年を迎えた部長クラスの一般従業員が他社の社外取締役として「野に出る」ことが日本の市場活性化においては必要ではないかと思います。

ほとんどの企業では、部長含む一般社員には役職定年制度があり、取締役になれない圧倒的大多数の社員は、50代半ば又は後半で役職がなくなり、年収も新入社員と同じ程度まで下がるかと思います。

その後も嘱託・契約社員として勤務先と有期雇用契約を結び、65歳程度まで働くことにはなりますが、社内では組織上の指揮命令権はゼロになり、まわりからは扱いにくい平社員として見られ、当然仕事に対するインセンティブも相当に低下します。

で、あれば、例えば、仮に時価総額が5000億円規模の企業の元部長であれば、シニア社員として自社にとどまるのではなく、時価総額が10分の1程度の500億円規模の上場企業に社外取締役として就任することが本当は重要なのではないかと思います。

年代も50代後半であれば、体力・知力ともに十分あり、大企業の部長のポジションにあり、かつ専門性の高い業務における得意分野が2、3本あれば、中堅規模の上場企業において、社外取締役に就任するニーズは強いのではないでしょうか。

勿論、部長といっても、部下に業務を任せて管理するといった本当の部長ではなく、自ら手を動かし、専門性を持つ「作業担当部長」であることが必要ではあります。中堅規模クラスの上場企業には、こういう大企業の元部長クラスが社外取締役となることが実務上は一番望ましいように思えます。

とすれば、40代半ばの大手企業のサラリーマンの残りのサラリーマン人生の過ごし方ですが、自分が取締役候補ではないと自覚した時点で、担当部長を目指し、実務作業者としてその道に精通するという姿勢で残りの10年の自社でのサラリーマン生活を考えるのが大切になってくるかと思います。

なお、製品知識・広報知織とか、社内の従業員の名前などのその会社でしか通用しないことは他社では価値がなく、どの上場企業でも通用する汎用性のある業務、例えばスタッフ部門の業務で言えば、経理・財務であったり、コーポレートガバナンス投資ファンドなどのアクティビスト対応、人事労務対応など上場企業であればどこにいっても必ず必要になる業務のスキルなどが大事になります。

本日は、新聞のタイトルから横道にそれ雑談のような内容になりましたが、思うところを書いてみました。