コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(3)-1

前回、改訂CGコードの観点から個人株主によるアクティビズムについて、取締役会の多様性の側面から記載しましたが、4月25日に株式会社フェイス(4295)に対してアールエムビー・ジャパン・オポチュニティー・ファンドから株主提案があり、それについてフェイスが開示を行っています。

フェイスは、5月1日時点で時価総額約155億円程度の中小型銘柄の企業です。

開示を見ますと、各事業分野に関連する多種多様な専門的知見や経験を有する取締役を経営陣に参加させ、その資質に裏付けられた視点を事業活動に反映させるということで、取締役1名の選任を提案しております。

なお、5月1日時点でのフェイスの株価情報によれば、PBRが1倍を下回っております。株価が割安に評価されている、最近のコーポレートガバナンス改革でいう問題のある企業といえます。

今回の株主提案は、推測ですが、株価が割安のため適切な能力を有する取締役を経営陣に加えることで、企業価値向上を図るということが主張の背景にあると思います。株主提案での選任候補者は、野村證券出身で、RMBキャピタルのパートナーの方となっています。

ちなみに、フェイスの2017年3月期の有価証券報告書で取締役構成を見ますと、社外監査役に弁護士・公認会計士の方が各1名おりますが、監査役は監査を業務とするので、企業経営に口を挟む役割はなく、そもそもそのような能力・経験もないので、企業価値向上を図る上では適任者とは言えません。

これを先日のブログに絡めて考えますと、今回の改訂CGコードでは、取締役の多様性として、ジェンダーと国際性を持つ人材の登用を求めており、今回の提案の方の経歴は、米国の投資会社ということで国際性のあるファイナンスのプロフェッショナルと言えます。株主提案による取締役の選任では、黒田電気に対して、村上ファンドが元経産省の方を取締役に選任する株主提案を行い、それが株主総会で可決されたことは記憶に新しいかと思います。

ごく一般の個人株主が、個人的なコネクションで、今回のフェイスのようなファイナンスのプロを提案することは困難かと思いますが、今回のケースのように株主アクティビスの手段としては有りうるということです。フェイスの2017年3月期の有価証券報告書を見ますと、外国人株主は18%となっていますので、株主提案がどの程度まで賛成率を集めるのか興味深いところです。

次回は、改訂CGコードの原則5-2で指摘されている資本コスト、事業ポートフォリオ
の見直しについて、このGW休暇中に出来れば書いてみたいと思います。この原則5-2がM&Aアクティビズムにおいて、今後、プロの投資ファンドが力を入れる可能性があり、個人株主も丁寧に投資先企業を分析すれば、株主提案をし得る余地もあるかと思います。