物言う株主のオアシス・マネジメントが総合IT企業のGMOインターネットに対して3月21日に開催された定時株主総会において株主提案をしていましたが、株主総会では、株主提案は否決されました。
株主提案は、買収防衛策の廃止、買収防衛策の導入方法の株主総会承認スキームの変更などになります。
株主総会の議案別の賛成比率については、発行体企業は、EDINETで関東財財務局宛に臨時報告書を提出することになるところ、株主総会翌日の3月22日にGMOインターネットは、臨時報告書を提出しており、株主提案議案に対する賛成率が開示されていました。
<主な株主提案>
買収防衛策の廃止 賛成率 44.8%
買収防衛策の導入方法に関する定款変更案 賛成率 44.3%
指名委員会等設置会社への以降に関する定款変更案 賛成率 15.8%
これを見ると、買収防衛策の廃止、仮に継続するとしても導入方法を取締役会決議から株主総会決議に変更するという手法に関する株主提案は否決されたものの、40%を超える賛成率があったことが注目すべき事項になります。
機関投資家のGMOインターネット株式の保有比率は不明ですが、議決権行使の個別開示の動きの中、株主提案であっても買収防衛策議案は廃止する声がかなり高いことがこれで分かります。
本年の定時株主総会で買収防衛策の更新期を迎える企業も多いと思いますが、更新しないことを決議した企業のプレスリリースも最近時々目にしております。3月決算期の株主総会が6月下旬ですので、おそらく4月下旬から5月中旬頃にかけて買収防衛策の廃止に関するプレスリリースが増えていくのではないでしょうか。
今回のコーポレーガバナンス・コードの改定案では、買収防衛策に関する原則は見直しをされていません。
しかし、買収防衛策は、2007年頃に経産省が企業価値向上に関するガイドラインを出して既に10年以上が経過し、当時は、スティールパートナーズなどが50%以上の株式を取得し経営権を支配するのが物言う株主の動きでしたが、今は、物言う株主が少数の株式を取得した上で、他の一般株主や機関投資家の賛同を得て企業に提案を行うというスタイルに大きく変化しています。
2007年頃は私は買収防衛策に全く関わっていませんでしたので、当時の企業価値研究会の出した企業価値ガイドラインは読んでいないのですが(今となってはガイドラインは古いですが)、今後は、買収防衛策の廃止が増える中、買収防衛策のあり方に関して経産省が何らかのガイドラインの策定に取り組むことになるのか関心があります。