シンガポールの政府系投資会社であるGCIが投資先である日本企業との対話を進め、経営改善を働きかける方針であるとの記事がありました。
日本企業の相次ぐ不正に対して、コーポレートガバナンスに関する経営陣の考え方を更に変える必要があるということのようです。
GCIは、運用総額は数十兆円程度で、そのうち日本投資の割合は12%程度のようです。
以前にブラックロックのラリーフィンク会長のコメントでも、投資先の日本企業に対して書簡を送るとして基本的な見解を述べていましたが、GCIも同様に積極的な対話を求めるようです。
記事を読む限り、企業の不正会計などの不祥事について日本企業のガバナンス面の改
善を求めていくようです。
不祥事に関しては、本年2月21日に東証が「上場会社における不祥事予防のプリンシ
パル」(案)を策定しました。現在、パブリック・コメント手続きを実施しています。
東証は2016年2月に「不祥事対応のプリンシパル」を策定しています。これは、不祥
事に直面した上場企業の信頼回復と企業価値再生に向けた指針となっています。一方、今回のプリンシパルは「不祥事予防」となっております。
原則が6つほど掲げられていますが、項目のみを列挙すると次のとおりです。
原則1 実を伴った実態把握
原則2 使命感に裏付けられた職責の全う
原則3 双方向のコミュニケーション
原則4 不正の芽の察知と機敏に対応
原則5 グループ全体を貫く経営管理
原則6 サプライチェーンを展望した責任感
数ページ程度の内容ですので、上場企業のCSR部門の方、法務部の方などは通常の業務とも関連するので、是非一度読まれると良いと思います。
今回のGCIの記事を読むと、今回の東証のプリンパルなども彼らが対話を求める1つの
材料になるように個人的に感じています。
最近のコーポレートガバナンス改革は、日本企業に対する機関投資家の対話の動きに追い風になっていることは周知のとおりですが、東証のこの方針もこれに関連すると思われます。