中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

米ブラックロックのラリー・フィンク会長のコメント

12月20日付の日本経済新聞の記事に米ブラックロックのラリー・フィンク会長のコメントがありました。

ブラックロックは、運用資産670兆円のうち、日本企業株式は26兆円を保有しておりますが、日本経済新聞でのラリー氏の発言をピックアップしますと次のとおりです。

・ 記録的な低金利環境の中、日本企業は投資すべきである
・ 適切な企業価値向上を行うべきである
・ 取締役会の役割が高まっている。長期的な利益は短期的な利益に勝る
・ 一部企業の不祥事をみると、取締役会の機能が一層強化されることが望ましい
・ 日本企業は努力はしているものの、ガバナンスを十分に進化させているとまではまだ言えない。
・ 最高益を上げているいまこそ改革のベストタイミング


コーポレートガバナンスというと単に取締役会の構成、メンバーの多様性、会社の機関設計だけを思い浮かべる方もいるかも知れません。しかし、ブラックロックは、事業戦略に即した形でのコーポレートガバナンスに関心があるように思えます。

つまり、事業ポートフォリオの転換が出来るようにガバナンス体制を構築し、また必要に応じて進化をさせていくべきといった意味です。勿論、これはラリー氏のコメントにはないため、私見にはなります。

経産省のコーポレートガバンス改革では、日本企業は無形固定資産への投資を増やし、中長期的な企業価値の向上を図るべきとの考えは周知のところですが、ブラックロックは従前より、企業の中長期的成長を志向して投資を行うとの姿勢の機関投資家ですので、あらためてこの点を踏まえた発言であったということになります。

今後は、2018年の早い時期に上場企業に対話に関する書簡をブラックロックは送付するということのようです。