コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

企業に埋もれた知的財産の有効活用策の検討会議

先日の新聞報道によれば、内閣府は、企業に埋もれた知的財産の有効活用策を検討するための産学連携の会議を11月16日に新設するとのことです。

先日のブログでは、この連休中に伊藤レポート2.0を読むと書きましたが、この記事も少しだけ気になりましたので、本日はこの記事に関して少しだけ触れてみたいと思います。

未利用の知的財産(以下「知財」といいます)の有効活用については、メーカーを中心に以前より課題の1つとして指摘されていることですが、政府がその具体的な対策検討を開始するようです。 

メーカーなどの企業は多数の知財を有していますが、実際に自社の事業で活用しているものはそのすべてではありません。いわゆる持っているが使っていない未使用の知財も各社多く抱えています。では、なぜでしょうか。

まず、企業が知財を取得する目的は、自社防衛があります。つまり、自社で開発する製品の技術について、他社から知財侵害を主張されると、設計変更を行う、最悪のケースのは開発を中断することにもなります。このため、開発段階で、他社特許に抵触しないか十分な調査をするのですが、必ずしも完全な調査が出来るものでもありませんし、また、開発の途中でいろいろと設計を変えるケースもあります。

そこで、将来、他社から特許攻撃を受けるのを防ぐため、幅広に特許を取得します。このため、実際に利用しないままのものも多くなります。他にも色々と理由はあるかも知れませんが、このような状況と思います。

一方、知財は取得した後も維持する場合には、維持費がかかります。維持する期間中、特許庁に維持費を払う必要があり、大手企業であれば、毎年数億円から数十億円かかる場合もあると思います。つまり、使わないけど、多額の維持費は払うことになります。

では、使わないのであれば、他社にライセンスをしてライセンスフィーをとればよい
ということになりますが、これも難しいところです。

理由は、知財部には特許のライセン先を見つけることの機能をはなく、そもそも、知財部は企業の防衛のために、技術部門の指示に従って知財を取得するのであり、勿論外部企業からライセンスの要請があれば検討はしますが、自ら能動的にライセンス先を探すということはしません。これが、いわゆる埋もれた特許、つまり保有してはいるけど活用できておらず、維持コストだけがかかる知財の問題になります。

報道によれば、今後、半年程度の議論を行い報告書を纏め、企業への支援策の成果は2018年度の「知的財産推進計画」に盛込むとのことです。