コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

女性の社外取締役の員数増加

伊藤レポートについて週末までにしっかり読もうと思っていたのですが、ざっと目を通した程度しかできませんでしたので、伊藤レポートの内容サマリーは次回以降として、本日9月10日の日経新聞に「女性社外取締役15%増」との記事がありましたので、これについて紹介するとともに、最近はやりのダイバーシティーについて思うところをコメントしてみます。

同記事は次のような内容です。

東証1部上場企業約2,000社に在任する女性の社外取締役は552人で昨年より15%増
・女性社外取締役を起用した企業は4社に1社
東証1部上場企業の全取締役に占める女性取締役の比率は10.6%

社外監査役を含めた女性の社外役員の員数では、ローソン、かんぽ生命、カルビーアステラス製薬資生堂など15社が3人となっているようです。いずれも直接にエンドユーザーを顧客とする企業で女性目線が収益を稼ぐ上で大切になってくる企業かと思います。

近年、ダイバーシティーということで女性の活用に取り組んでいる上場企業は大変多いと思います。

企業によっては、ダイバーシティーを推進する専門部署(部署といっても2、3名程度の小規模と思いますが)を設置している企業も多いと思います。

私は、女性の活用に関する議論に関しては良く理解していないのですが、男女の区別なくフルで働ける人材の中から、能力のある者を活用していけばよく、それが男性・女性のどちらでもよいというのが考えです。

ただ、本日の記事もそうですが、女性をあえて幹部や役員として起用するということであれば、「女性」という母集団がその企業で一定規模に達している必要があると思います。

当たり前ですが、能力ある者を選ぶには、その母集団が小さいと必然的に選ばれた者は能力の低い可能性が高いということになります。1学年20名の過疎化の進んでいる小学校で5番の成績の生徒と、1学年200名の小学校で5番の成績の生徒の能力を考えると一目瞭然かと思います。

では、母集団として現状はどうなっているかを見ますと、公務員の世界は知りませんが、民間企業でフルで働ける女性というと、自分の経験や知人などの話も聞くと、①未婚者、②既婚であるが子供がいない、③既婚で子供が一人(一人っ子)という3類型に大きく分かれると思います。勿論、男性もこの3類型に該当します。

問題は、この母集団に子供を2名以上持つ多くの女性が入っていないことです。理由は単純で、子供が2人以上いると、男性と異なり女性はフルで勤務するのが大きく困難又は不可能という点で、どうしても子育てを優先せざるを得ず、一流大学を出て総合職として入社し、将来幹部となれる能力があっても退職してしまうことになります。実際に私のまわりでもこういう女性を数多く見てきました。

とするとこういった大多数を占めるタイプの女性が母集団から除かれた集団の中から、あえて幹部、役員を選ぶとすると、その選ばれた者は、母集団の数が小さいため、必ずしも能力が十分でない可能性があるということになります。

ダイバーシティーの内容は各社取り組みは様々だと思いますが、仮に女性の役員・幹部を増やすということであれば、その職に選定された女性が優秀であるためには、フルで働ける女性の環境を整備する、つまり子供を複数名持っても十分に働ける環境を整備することがとても大切なように考えます。

女性活用というのは今のはやりですので、現時点においてフルで働くことが出来る女性集団の中から、とりあえず幹部を選任しておくということは世間に対するPRという点では手っ取り早く一番都合がよいことはたしかです。

しかし、真に女性の目線を企業経営に活かして、それが収益向上につながるのであれば、フルタイムで働くことができない女性に十分に働ける環境を与え、女性の母集団を広げ、その中から能力ある者を選別するということが必要になるのではないでしょうか。