コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

相談役・顧問の役割開示について東証の新制度設立の動き

8月3日の日経新聞に、2018年から東証に提出する報告書で相談役・顧問の氏名、業務内容、報酬の有無などの開示を促す方針であるとの報道がありました。

相談役・顧問に対する批判は、東芝の例を契機に議論の高まっているところであり、J・フロントリテイリング日清紡ホールディングスが本年、相談役・顧問制度を廃止しているのは記憶に新しいかと思います。

相談役・顧問に対する批判の背景は、以前にブログでも書いておりますが、要するにその役割や報酬が外から見えないにもかかわらず、元経営トップということで、自分の元後輩である現経営トップや経営陣に強い影響を及ぼすことがけしからんというものです。

いわゆる院制というもので、院制などという言葉は、高校生の時の日本史の教科書でも、奈良時代平安時代の皇族でも同様の話はあったので、要は組織あるところ古より存在したということかと思います。

相談役・顧問の透明性は、政府の成長戦略の中の重点政策の1つで、経産省東証が開示の拡充を検討していたようです。私のような立場の者が、経営トップを経験した相談役についてとやかくいう資格も経験もなく、当然のことながら相談役と現職の経営トツプの会話・影響など知る由もないのですが、会社法の原則の照らすと、経営に影響を及ぼすことがありながらも、相談役は会社法上の役員ではないので、自分の指示に起因して会社に損害が発生し、ひいては株主や取引先に損害が及んでも、法的に会社や第三者に対して責任を負う地位にないという点が大きな問題かと考えます。

開示の方は今後決まるということですが、具体的に各社どのような開示を行うのか興味深いところです。

普通に考えると、相談役の業務内容は、「経営に対するアドバイス」のような抽象的な記載になるのかも知れませんが、この場合だと、透明性ありとは言えないように思えます。

ポイントは、相談役・顧問が経営にどのような影響を及ぼしたかを明確にすることにありますので、よりつっこんで、個別具体的案件名に対してどういうアドバイスを行い、その結果、経営陣がどういう意思決定をしたかを明確にする必要が本来必要になっていくのではないでしょうか。

現時点では、相談役・顧問の役割を開示するということにとどまっていいますが、経営に影響を及ぼす役割を有しているのであれば、将来会社法も改正され、役員の定義に相談役・顧問が入る、または、役員でないが役員と同様の責任を会社法上も負うことになるといった会社法改正の動きも出てくるのかもしれません。


いずれにせよ、機関投資家との対話の高まりの動きの中、相談役・顧問の開示について上場企業は、今後色々と検討することになってきます。